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本の紹介「法医昆虫学者の事件簿」
「法医昆虫学者の事件簿」マディソン・リー・ゴフ著、草思社文庫、2014年6月、ISBN978-4-7942-2057-8、900円+税
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【森住奈穂 20150225】【公開用】
●「法医昆虫学者の事件簿」マディソン・リー・ゴフ著、草思社文庫
殺人事件の捜査方法として新しい法医昆虫学。アメリカ法医昆虫学評議会の設立(1996年)メンバーの一人である著者が、数々の経験を積みながら捜査方法を確立していく様が描かれる。具体的には、死体を食べるハエなどの昆虫の発育段階から死後経過時間を決定したり、生息環境が特異的な昆虫から殺害現場を特定したりすることである。気象条件や遺棄方法、遺棄場所によって昆虫の発育パターンは変動するため、実際の殺人事件のみならず、ブタを使って腐敗分解過程のデータを蓄積する研究がおこなわれているそうだ。著者はユーモアがあり、情緒的な面は描かずに事実のみが具体的に詳細に述べられるため、からりと読める。
お薦め度:★★★ 対象:死体分解者としての昆虫を知りたいひと
【萩野哲 20141214】
●「法医昆虫学者の事件簿」マディソン・リー・ゴフ著、草思社文庫
死から白骨化までに人体に起こる変化に昆虫が果たす役割の大きさに気付いた著者は、その分野の将来性を確信した。少数の仲間とともに地道に死体の腐乱過程についてのデータを集め、その過程に新鮮期、膨満期、腐乱期、後腐乱期、そして白骨期の5段階を認めた。死体が地面に接している時と宙ぶらりんの時、梱包されている場合や水につかっている時など、様々な場合でこれらの過程には一定の法則が認められた。などなど、著者は多くの事例を紹介し、次第に自分たちの手法が法医学の現場で信頼を得ていったことを報告している。日本でもそのうち、ホネホネ団のメンバーから法医学に貢献する人材が誕生するのでは? というような想像をしてしまった。
お薦め度:★★★ 対象:推理と昆虫が好きな人
【和田岳 20150227】
●「法医昆虫学者の事件簿」マディソン・リー・ゴフ著、草思社文庫
ハワイの法医昆虫学者が、自らの活動を紹介(自慢?)。法医昆虫学とは、死体が昆虫などによっていかに喰われていくかを調べることで、いつ死んだかを推定する分野。
ダニの研修者だった著者は、とある学会で法医昆虫学と出会い、研究を進め、やがてその筋での第一人者となる。その研究は、人間の死体に見立てたブタの死体を、さまざまな環境に、さまざまな状態で設置して、どのような条件下ではどのようなタイミングでどんな虫がやってくるかを調べるというもの。そのデータを元に、警察などから依頼されて実際に人間の死体を検分・サンプリングを行い、その死亡日時を推定していく。乾燥した死体の場合、死体が覆い隠されていた場合、ハチやアリの巣の近くの場合、海上や吊り下げられた死体の場合、殺虫剤や麻薬の影響があった場合。さまざまな場合で、死体の腐敗分解過程の進み具合がどのように変わるのかを説明してくれる。
著者が行っている実験は、一般の人には眉をひそめるようなものだろうけど、骨格標本を作っている者にはとても馴染みがあり、多いに参考になる。普通の人にどのくらい役立つ知識かは疑問だけど…。
お薦め度:★★ 対象:ホネホネ団員
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