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本の紹介「ヒョウタン文化誌」
「ヒョウタン文化誌 人類とともに一万年」湯浅浩史著、岩波新書、2015年9月、ISBN978-4-00-431564-3、760円+税
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【上田梨紗 20160812】【公開用】
●「ヒョウタン文化誌」湯浅浩史著、岩波新書
ヒョウタンについて考えたことなど、ない。まったくない。だが人類の生息地域拡大や文化の発展に必要不可欠だったと聞けば話しは別だ。
あなたは、驚くだろう。古代から世界中でこれほどまでに活用(愛用)されていた。いや、いることに! 実用品としてはスプーンからサメよけまで幅広く、宗教思想(伏羲と女?)、音楽、ファッション、芸術とオールマイティーに活躍してくれるヒョウタンは、まるでリオオリンピック体操日本代表の内○選手のようだ。
ただし、ヒョウタンの生態について詳しく学びたい方や自然界でのヒョウタンについて興味のある方は、肩透かしをくうことになるので気をつけてほしい。なぜならこの本は、ヒョウタンと人類の一万年にも及ぶ相利共生(…のはず)を知ることのできる一冊なのだ!
お薦め度:★★★ 対象:ヒョウタンについてある程度知識がある人、人間の文化に興味のある人
【萩野哲 20160823】
●「ヒョウタン文化誌」湯浅浩史著、岩波新書
人類が栽培した植物は様々であるが、食用目的ではなくこれほど多用途に利用された植物はヒョウタン以外にはないことが、本書を読んでよく理解できる。容器としてはもちろん、楽器や宗教儀式に使用するものや芸術作品やパンツ(?)として、人類の拡散とともに世界中に広がって行った。ただし、ヒョウタンの仲間については、ユウガオについて少しだけ触れてあるにとどまり、ウリ科のどこに位置するのか等、自然史についての情報は少なく、著者の経歴を考えると少し不満感がある。
お薦め度:★★★ 対象:民俗学的観点からヒョウタンを知りたい人
【森住奈穂 20160825】
●「ヒョウタン文化誌」湯浅浩史著、岩波新書
ヒョウタンというと独特のくびれのある形を思い浮かべるが、形態は七つに大別できるという。柄杓型、壺型、丸型、イボや格子状の線があるものも。中が空洞だから、いろいろな用途がある。器、楽器、装身具、農具や漁具。プラスチックに取って替わられて、最近ではとんと見なくなってしまったけれど、あらためてその汎用性の高さに驚いた。アフリカ原産で、人類の移動とともに世界各地へ広がり、常に人間と共にあったヒョウタン。私たちは物心両面からヒョウタンのお世話になってきたのだなぁ。ヒョウタンを見ると何となくありがたい気がするのはそのためか…。ヒョウタン型の醤油入れ欲しさにシュウマイを買ってしまったりとか…。
お薦め度:★★★ 対象:みんぱく(国立民族学博物館)好きなひと
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