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本の紹介「一万年の進化爆発」

「一万年の進化爆発 文明が進化を加速した」グレゴリー・コクラン&ヘンリー・ハーペンディク著、日経BP社、ISBN978-4-8222-8399-5、2010年5月、2200円+税


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【加納康嗣 20101029】
●「一万年の進化爆発」グレゴリー・コクラン&ヘンリー・ハーペンディク著、日経BP社

 「人類は進化を停止したという考え方がある。しかし実際にはむしろ加速している。現在人類の進化は、人の誕生以来600万年間の平均よりも約100倍も速く進んでいる。人類は有史時代を通じて肉体的にも精神的にもかなりの変化を遂げている」 その契機になったのは農耕が始まり定住生活をするようになったことだが、その原動力は遺伝的変化、すなわち生物学的違いである。ヨーロッパ人がネアンデルタール人を滅ぼし、アメリカ大陸を簡単に征服したがアフリカへの侵入に失敗したこと、インド=ヨーロッパ語族の言葉が世界に広まったのも、ユダヤ人が科学や芸術の分野で圧倒的な才能を発揮しているのも生物学的違いに根本原因があると著者はいう。
 進化の原因を環境の変化、社会の変化に求め、進化がさらに環境を変化させる。この絡み合いから急激な進化が生まれたという。私は人は自らを家畜化したと考えていたが、その原因を生物学的違い=遺伝的変化として具体的な例証を挙げていることに強く興味を感じる。
 一つの危惧がある。だから、生物学的に進化が最も進んだのはインド=ヨーロッパ語族だと結論付けているのではないかということである。それならば新たな人類多源論である。読んでいないのでそこのところはわからない。一つの課題として問題提起しておこう。

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