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本の紹介「イカ4億年の生存戦略」
「イカ4億年の生存戦略」ダナ・スターフ著、エクスナレッジ、2018年7月、ISBN978-4-7678-2499-4、1800円+税
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【森住奈穂 20181221】【公開用】
●「イカ4億年の生存戦略」ダナ・スターフ著、エクスナレッジ
「恐竜がたかだか2億3000万年なのに対して、5億年も前の化石がある」頭足類。4億年前にオウムガイ類、鞘型類(しょうけいるい・現在のイカ・タコの祖先)、アンモナイト類に分かれ、2億5200万年前の96パーセントの種が消えたペルム紀大絶滅も乗り越えた。頭足類の殻には卵にまでさかのぼる成長の記録が含まれているため、その化石は進化の謎を解き明かす助けになる可能性があるという。さらに、最先端のスキャン技術で、裸眼では何も見えなかった部分に軟組織の跡が残っていることが明らかになったとのこと。新たな発見が待ち遠しい。様々に形を変えながら環境変化をくぐり抜けて生き残ってきた頭足類。現代は人間による何桁も速いスピードの変化にさらされている。私たちは美味しいイカ・タコを食べ続けられるのだろうか。耳慣れない単語が頻出で、全くの素人の私には読み辛かった。見出しの工夫や索引があればと感じた。
お薦め度:★★ 対象:頭足類の進化に興味のあるひと
【冨永則子 20181220】
●「イカ4億年の生存戦略」ダナ・スターフ著、エクスナレッジ
イカやタコは目があり口があり生き物として親しんでいるが、実に奇妙な形態ではある。「口」と思っているのは、実は漏斗という吹出口で、本来の口は足の付け根に存在する。足の付根?!なんとも奇妙キテレツ! しかし、その存在は古く、恐竜は2億3千年前の化石があるが、イカやタコの仲間の頭足類の化石は5億年前のものが存在するらしい。大量絶滅の危機を乗り越え、なぜ生存して来られたのかを古生物学から海洋生物学まで最新の知見から読み解いていく。10歳の時、家族旅行の途中で立ち寄った水族館でタコに出会い、タコをペットにしている女の子から、研究者となって科学を生むより科学を伝えるほうが合っているという確信からサイエンスライターとなった著者のイカ・タコ愛に満ちている。
お薦め度:★★ 対象:イカといえば天ぷらか寿司ネタしか浮かばないような私に
【萩野哲 20181215】
●「イカ4億年の生存戦略」ダナ・スターフ著、エクスナレッジ
頭足類の起源から現在まで、化石に基づいてその系統のみならず、発生段階から生活、食性や他の生物との関係までを、古生物学と海洋生物学という、フラストレーションを共有する学問を駆使して紹介している。何回もの大量絶滅期からの回復と繁栄、魚類やクジラ類との競争、殻を体内に閉じ込めて高い遊泳性を得た鞘型類、アンモニアで浮力を得たため化石になりえないイカたち、アンモナイトは白亜紀末に絶滅していなかった事実。あのバキュリテスのヘンテコな巻き方も、食料に困らないメタン溜まりで生涯暮らした半浮遊生活者と理解すれば、何となくわかったような気がする(しぼみかけた風船に例えるのも秀逸)。ただし、図が少なすぎてやや難解(想像たくましい人は別)。また、印刷インクが黒ではなく、なぜか青。同じ凝るならセピア色にすればよかったのに。
お薦め度:★★★ 対象:イカタコについて食べる以外の興味を持った人
【和田岳 20181221】
●「イカ4億年の生存戦略」ダナ・スターフ著、エクスナレッジ
タイトルにはイカとあるけど、現生と化石を含めた頭足類の本。子どもの頃からタコを飼っていて、頭足類で学位をとった頭足類オタクの著者が、頭足類への熱い想いとともに、頭足類の進化の歴史と、現状を紹介。
古生代に生まれ、ゆっくりだけど強力な捕食者として海の王者に君臨していた頭足類。それが、(捕食者あるいは競争者である)魚類の登場で、とたんに共進化の嵐に巻き込まれる。防御のための殻をまとい、一方で速く泳ぐ必要が…(遊泳革命!)。そして、オルドビス紀末、ペルム紀末、山上期末の大量絶滅で大部分が死滅しながらも、復活&繁栄を繰り返してきたものの(主にアンモナイトが)、ついに白亜紀末の大量絶滅で、アンモナイトを中心とした頭足類の繁栄は終わりを告げた。でも、種数は少なくなり、形態の多様性の減ってしまったけど、現在もイカやタコはたくさん生き残っているよ。って話。
話は面白いのだけど、難しい話を簡単に紹介しようという努力に無理がある感じ。とくに図もなしに、形態を説明されてもさっぱり判らん!
お薦め度:★★ 対象:アンモナイトが気になる人
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