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本の紹介「ジュゴンの上手なつかまえ方」

「ジュゴンの上手なつかまえ方 海の歌姫を追いかけて」市川光太郎著、岩波科学ライブラリー、2014年8月、ISBN978-4-00-029629-8、1300円+税


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【西本由佳 20150823】【公開用】
●「ジュゴンの上手なつかまえ方」市川光太郎著、岩波科学ライブラリー

 著者は、生き物に記録計をとりつけて個体の行動データを直接計測する、バイオロギングを志して研究を始める。記録計をとりつけるためには生き物をつかまえなくてはいけない。今のところ、いちばんジュゴンに負担の少ないつかまえ方は、ジュゴンに飛び乗ってつかまえる方法であるらしい。著者はこの方法を身につけ、研究を進める。もう一つ、世界中で著者だけが調べていることとして、ジュゴンの鳴き声がある。ジュゴンは鳴くそうだ。それが、どんなふうに?いつ?なぜ?と調査を進めていく。海という広大なフィールドを相手に、一人の研究者が試行錯誤する話。

 お薦め度:★★★  対象:野生動物を調べることに興味のある人

【冨永則子 20150819】
●「ジュゴンの上手なつかまえ方」市川光太郎著、岩波科学ライブラリー

 もちろん、いわゆるハウツー本ではない。そもそも、“つかまえ方”といっても、ただ単に泳いでいるジュゴンと並走して、「えーい、ままよ!」と跳びつくだけである。しかし、タイトルとしては上手いつかみになっている。 本著では、ふとした経緯からジュゴンを研究することになり、タイで鳴き声を調べ、オーストラリアで捕まえる手法を学び、アフリカで捕獲にチャレンジした経験を記す事で、一学生の研究から社会人としての研究者への道が語られている。また、生物の研究と保護、その生物に関わる人の暮らしとのバランスについて考えるきっかけを与えてくれる。
 著者は大阪府生まれとのこと。文章の端々に大阪人ぽいユーモアを感じるのは私も大阪人だからかな?

 お薦め度:★★★  対象:海の生き物に興味がある人に。研究者って?と思ってる人に

【萩野哲 20150825】
●「ジュゴンの上手なつかまえ方」市川光太郎著、岩波科学ライブラリー

 ジュゴンの鳴き声を専門にする唯一の研究者である著者の世界を股にかけたジュゴン研究歴が紹介されている。鳴き声に関する研究の進展はいまいちだなあという感想を持ったが、分布の説明で、オーストラリアには結構いる(7万頭)ことを知ったし、何と言ってもタイトルにもなっているジュゴンのつかまえ方は面白かった。研究はハイテクのみならず、ローテクが支えているのだ。

 お薦め度:★★★  対象:研究課程に関心がある人
【森住奈穂 20150826】
●「ジュゴンの上手なつかまえ方」市川光太郎著、岩波科学ライブラリー

 世界で唯一のジュゴンの歌声研究者である著者。バイオロギングがしたくて受けた研究室への配属試験の失敗がジュゴンとの出会いだとか。甘苦ないまぜの研究人生が、余すことなくしたためられていて親しみやすい。タイでの初めての調査では、野生のジュゴンの鳴き声を集めて必死で解析、母とはぐれてしまった赤ちゃんジュゴンPちゃんの鳴き声が、自分の位置を知らせるための泣き声だったと、自身が親になって気付いたり。オーストラリアでは、泳いでいるジュゴンに飛び乗る「ロデオ法」を習得、共同研究者のイケメンぶりに舌を巻く。スーダンではロデオ法を現地スタッフに伝授し、ついにバイオロギングを実現する。沿岸域に暮らすジュゴンと漁業とを守る難しさも体感、最終章「ジュゴンの上手な守り方」につながっていく。最北の分布地は沖縄。わずか3頭が確認されているそうだ。

 お薦め度:★★★★  対象:冒険譚が好きなひと
【和田岳 20150827】
●「ジュゴンの上手なつかまえ方」市川光太郎著、岩波科学ライブラリー

 ジュゴンのヴォーカルコミュニケーションの研究者が、タイで、オーストラリアで、スーダンでのジュゴン研究の経験を紹介した1冊。
 タイでは、水中にマイクを仕掛けて、ジュゴンの声を録音。と思ったら、テッポウエビのパチパチいう音ばかり録音されてうるさい。ジュゴンの研究にならん。って話が面白い。オーストラリアではみんなでジュゴンに飛びついて捕まえる捕獲法を修行。それをスーダンで実践。見事に捕獲に成功する。  世界には、まだまだジュゴンが生息していて、オーストラリア東岸やペルシャ湾、紅海には思ったよりたくさんのジュゴンが生き残っている。けど、沖縄島沿岸には3〜4頭だけとは…。文字通り数えるほどしかいない沖縄のジュゴンが生き続けてくれることを祈りたい。

 お薦め度:★★★  対象:ジュゴンの現状の概況を知りたい人
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