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本の紹介「海獣学者、クジラを解剖する。」
「海獣学者、クジラを解剖する。 海の哺乳類の死体が教えてくれること」田島木綿子著、山と渓谷社、2021年8月、ISBN978-4-635-06295-4、1700円+税
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【和田岳 20211217】【公開用】
●「海獣学者、クジラを解剖する。」田島木綿子著、山と渓谷社
本書のメインテーマは、海獣類のストランディング。各章に、著者の仕事と海獣の一般的解説が記されており、第1章と第3章、および各章の最後に設けられたコラムの記述が著者の仕事の比率が高い。結論として、ストランディングの原因は、感染症、寄生虫、地球規模の磁場変化、減圧症など、いろいろ候補は挙がっているものの、未だ解明されていないようだ。
POPsやそれを吸着した海洋プラスチックの摂取が原因のひとつかもしれないし、海洋プラスチックが発見された個体では空胃が多いのは何らかの関連があるかもしれない、と著者は考える。全体としては図と写真が分かりやすく、内容の理解を助けている。しかし(著者の責任ではないかもしれないが)、グラビアで使用した写真と同一の写真が本文中でも使われているのはイラッとする。
お薦め度:★★★ 対象:海獣全般を軽く知りたい人、またはストランディングに駆けつける人の生態を知りたい人
【萩野哲 20211124】
●「海獣学者、クジラを解剖する。」田島木綿子著、山と渓谷社
前半では、国立科学博物館の海棲哺乳類担当研究員の、ストランディングに走り回る日常が紹介される。それに混じって、ストランディングという現象の紹介。出先でクジラ解体した後、立ち寄った温泉施設での異臭騒ぎとか、この業界ではアルアルで笑える。迷惑だけど。日本ではシロナガスクジラのストランディングは1例しかないとは知らなかった。
後半は、クジラ類、鰭脚類(おまけでラッコ)、海牛類のなんかいろいろ紹介。分類と形態、そして生態がつまみ食いのように紹介される感じ。あとは、アメリカでのマナティー調査の研修と、タイでのジュゴン調査で出会った研究者のエピソード。ラッコとホッキョクグマも海棲哺乳類に混ぜられることがあるとは気付かなかった。
お薦め度:★★★ 対象:海獣全般を軽く知りたい人、またはストランディングに駆けつける人の生態を知りたい人
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