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本の紹介「海洋プラスチックごみ問題の真実」

「海洋プラスチックごみ問題の真実 マイクロプラスチックの実態と未来予測」磯辺篤彦著、化学同人、2020年7月、ISBN978-4-7598-1686-0、1500円+税


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【中条武司 20210624】【公開用】
●「海洋プラスチックごみ問題の真実」磯辺篤彦著、化学同人

 本を開ければ最初の口絵に、発砲スチロールをはじめとしたごみに覆い尽くされた五島列島の海岸が載せられている。著者らがはじめて海洋プラごみの研究を始めた海岸の写真らしい。そこから初めて日本各地の海岸や近海、はては地球を南北に縦断して海からプラごみを採集する航海に出る。海洋プラごみの問題点はもちろん書かれているが、それよりもどのように研究に取り組んだかを紹介することに重点が置かれており、深刻な問題を扱っているのだけど知的好奇心を刺激される。

 お薦め度:★★★★  対象:海洋プラスチックごみ問題に興味のある人
【西本由佳 20210417】
●「海洋プラスチックごみ問題の真実」磯辺篤彦著、化学同人

 海洋に流出し問題となっているプラスチックごみについて海洋物理学者が書いた本。海岸に打ち上げられている膨大なごみから始まり、その多くがプラスチックごみであること、どのくらいの期間で入れ替わりまた海洋に流出していくか、そのプラスチックごみの何が問題か、と話は進んでいく。そのごみの誤食で生物たちにどんな被害が及ぶかという問題は印象的だが、マイクロプラスチックの問題に焦点は絞られていく。マイクロプラスチックは調査が難しく、その汚染の影響についても、まだ研究途上らしい。しかし、このままだと未来には確実に濃度を増し、生物への影響も大きくなる可能性が高いという。結びでは、やはりプラスチックを減らしていこうという話になるが、プラスチックの素材としての優秀さ(安価、清潔など)にも言及し、先進国などからの一方的な禁止ではなく、地道な努力を必要とし、社会問題としての解決策も考えていたのが印象に残った。

 お薦め度:★★★  対象:プラスチックごみ問題について立ち止まって考えたい人
【和田岳 20210423】
●「海洋プラスチックごみ問題の真実」磯辺篤彦著、化学同人

 海岸でゴミを数え、ドローンで撮影して画像から全体量を推定。海岸のゴミに標識して、ゴミの動きを評価し、また海岸でゴミがどのようにばらけていくかを考える。船で網を引っ張って、海面をただようゴミの量を推定。五島列島からはじまり瀬戸内海、日本近海、はては南極海まで。地道な調査によって徐々に明らかになる海洋プラスチックごみの実態。それでも判らないマイクロプラスチックの量の謎。
 海洋プラスチックごみ問題についての本は数多くでているが、その研究の現場の様子が紹介されるのは珍しい。なにより謎が解明されるプロセスは、こういってはなんだけど面白い。深刻な問題だけど、こうした調査から、なにか解決の糸口が見つかるのではないかと期待してしまう。

 お薦め度:★★★★  対象:海岸で大量のごみを見たことがあれば
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