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本の紹介「金沢城のヒキガエル」
「金沢城のヒキガエル」奥野良之助著、どうぶつ社、1995年9月、ISBN4-88622-285-4、2136円+税
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【六車恭子 20050420】【公開用】(対象のみ和田より)
●「金沢城のヒキガエル」奥野良之助著、どうぶつ社
本書は金沢城に生息するヒキガエルを9年にわたり追跡調査し、ついにその集団が消滅するに至るまでの記録である。その個体識別されたデーターを屈指して、ヒキガエルの社会の全容を解き明かす手際に、著者の面目躍如たるものを見る。
冬ごもりから目覚めて4月初旬に訪れるたった10日間の繁殖期は春眠、夏眠とひたすら眠りに明け暮れる彼らにとってまさにカーニバルのようだ。ヒキガエルの卵の孵化率は90%、しかし変態を果たした子カエルの死亡率は97%、私たちが目にする立派なヒキガエルにも厳しい死の洗礼が待ち受けているのだ。ヒキガエルの競争なき社会を見た著者は学問する場や取り巻く社会にヒキガエル的視点をかざして見る。「金沢城のヒキガエル」は著者そのものであったと不思議に納得してしまえるのだ。
お薦め度:★★★★ 対象:カエル好き、生き物好きはもちろん、生態学の調査に興味のある人、さらには変人が好きな人、もしかしたら伝記物が好きな人にも
【西川裕子 20050629】
●「金沢城のヒキガエル」奥野良之助著、どうぶつ社
ゴーイングマイウェイな著者が9年間続けた、金沢城に生息するヒキガエルの研究&生態をまとめた本。言いたい放題感のある文章が楽しいうえ、なんだか敬遠されがちなヒキガエルという生き物がこんなにもおっとりのんびり平和に生きている、生きていけるということにびっくり出来て、面白い。
ただ、表紙にある煽り文句は最後の大学教育に関する主張とリンクしているだけで、トータルなこの本の紹介にはなっていない。「ヒキガエル物語」を期待してはいけない。
お薦め度:★★★ 対象:イメージで、ヒキガエルってちょっと…と思っている人向け
【六車恭子 20050420】
●「金沢城のヒキガエル」奥野良之助著、どうぶつ社
本書は金沢城に生息するヒキガエルを9年にわたり追跡調査し、ついにその集団が消滅するに至るまでの記録である。その個体識別されたデーターを屈指して、ヒキガエルの社会の全容を解き明かす手際に、著者の面目躍如たるものを見る。
冬ごもりから目覚めて4月初旬に訪れるたった10日間の繁殖期は春眠、夏眠とひたすら眠りに明け暮れる彼らにとってまさにカーニバルのようだ。ヒキガエルの卵の孵化率は90%、しかし変態を果たした子カエルの死亡率は97%、私たちが目にする立派なヒキガエルにも厳しい死の洗礼が待ち受けているのだ。ヒキガエルの競争なき社会を見た著者は学問する場や取り巻く社会にヒキガエル的視点をかざして見る。「金沢城のヒキガエル」は著者そのものであったと不思議に納得してしまえるのだ。
お薦め度:★★★★ 対象:反骨精神溢れる人に
【和田岳 20050414】
●「金沢城のヒキガエル」奥野良之助著、どうぶつ社
金沢城のヒキガエルを9年間にわたって調査した結果をもとに、ヒキガエルの暮らしと一生を紹介した本。それだけではなく、ヒキガエルにあんまり関係ないいらんことがたくさん書いてある。そこには著者の想いがあふれかえっていて、その部分が嫌いな人には読みにくい本かもしれない。
ヒキガエルの調査は、夜な夜な金沢城に出かけていって、ヒキガエルを見つけては、大きさを測り、標識して(or標識を確認して)放すというだけの簡単なもの。そうした簡単な調査でも9年間熱心に続ければこれだけの結果が得られる。それにはちょっと感心させられるし、(少なくともカエルの)生態調査の入門書としても読める。
とはいえ、この本の魅力は何よりヒキガエル自体の魅力。一年にせいぜい20日弱しか活動せずに、あとはほとんど寝ているらしい。こんな生活してみたい?
お薦め度:★★★ 対象:カエル好き、生き物好きはもちろん、生態学の調査に興味のある人、さらには変人が好きな人、もしかしたら伝記物が好きな人にも
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