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本の紹介「カラス屋、カラスを食べる」

「カラス屋、カラスを食べる 動物行動学者の愛と大ぼうけん」松原始著、幻冬舎新書、2018年7月、ISBN978-4-344-98511-7、820円+税


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【西本由佳 20181019】【公開用】
●「カラス屋、カラスを食べる」松原始著、幻冬舎新書

 ミズナギドリという鳥がいる。『冒険者たち』という小説では、主人公のネズミたちをのせて海上を飛ぶ勇壮な鳥として描かれる。今回、松原さんはそのミズナギドリの繁殖地、冠島という無人島を訪れる。そこでミズナギドリたちは木々につっこみ、枝に絡まってもがき、ボトッと地面に落ちてくる。地上ではえらくどんくさい鳥なのだ。松原さんたちはそれにかみつかれ、踏みつけ、よじ登られながらも捕まえて標識をつけていく。このへんはけっこう「ぼうけん」かもしれない。松原さんの専門はカラス、そんなに危ないところへは行かない。しかし、カラスやマムシを喰らうのも、ウミガメと握手するのも、東京で野宿するのも、木津川の水を飲むのも、一般人から見ればずいぶんな「ぼうけん」だ。こんなに変なことばかりしているのに、折々はさまれる松原さんの視点は、ごくまじめで素直で、共感しやすい。

 お薦め度:★★★  対象:非日常をのぞいてみたい人


【森住奈穂 20181026】
●「カラス屋、カラスを食べる」松原始著、幻冬舎新書

 ご本人が前書きで述べている通り、血湧き肉躍る冒険譚ではない。生物研究者の日常の物語。それが我々の日常から少しはみ出しているものだから、クスッと笑える。学生時代の生物調査のお話が柱になっていて、カラス以外にミズナギドリやウミガメ、ニホンザル等々が登場。チドリ調査の第9章「実録!木津川24時」なんて、こんな場所で命がけでチドリの糞を拾っている人がいるなんて!と目からウロコが落ちた。タイトル通り、味覚生物学の話題もちらり。キムチ鍋には「スルメと塩サバ」、やってみよ。

 お薦め度:★★★  対象:ほっこり癒されたいひと


【和田岳 20180930】
●「カラス屋、カラスを食べる」松原始著、幻冬舎新書

 次々と本を出版しているカラス博士の1冊。学生時代の思い出話や就職後のこぼれ話をするパターン。カラス博士が関わった調査関連が総ざらいされてる印象。似たような時代に似たような場所で過ごしていたせいで、とても楽しく読めるのだけど…。
 カラスへのエサやり実験の挫折から始まって、冠島でオオミズナギドリ調査にいき、アカウミガメの調査を手伝い、クマタカ調査に連れて行かれ、屋久島のサル調査で活躍する。カラスやマムシなどを喰い、東京で怖い目に遭って、木津川で苦労する。とまあ冒険もいっぱい。冠島には一緒に行った気がする 。

 お薦め度:★★  対象:カラス博士ファン


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