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本の紹介「カタツムリ ハンドブック」
「カタツムリ ハンドブック」武田晋一著・西浩孝解説、文一総合出版、2015年7月、ISBN978-4-8299-8130-6、1600円+税
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【西村寿雄 20151027】【公開用】
●「カタツムリ ハンドブック」武田晋一著・西浩孝解説、文一総合出版
カタツムリの手頃な図鑑である。カタツムリは他の生き物と違って移動範囲は小さく、生息域が限定されるので、その地特有の固有種が生まれることが多い。それだけに種類も豊富で、全国に800種はいるという。本書ではそのうち150種ほどが掲載されている。まず、広域種が紹介されるが、広域種はきわめて少なく17種あるのみである。広域種以外の多数のカタツムリは地域限定の「ご当地カタツムリ」である。カタツムリも本当に千差万別である。実際に現物を見て種を特定するのは至難のわざだろう。所々にコラムが設けられている。「カタツムリと水中のタニシとどこがちがうのか」「キセルガイとハゲ!?」「黒いカタツムリの謎」など興味深い話が盛り込まれている。文字は小さいが中学生以上なら読める。
お薦め度:★★★ 対象:虫好き中学生から
【西本由佳 20151025】
●「カタツムリ ハンドブック」武田晋一著・西浩孝解説、文一総合出版
本を開いて最初のほうに、「カタツムリは移動能力に乏しく、時に種類によっては、山1つが外国と言ってもいいくらいの遠距離に相当します」と書いてある。人間とカタツムリでは、体の大きさも進む速さも全然違うことはもちろん知っている。だけど、速さの違いが、それほどに住む世界の違いになっていることに、まず感心した。図鑑なので、いろいろな種類のカタツムリが列挙されている。ふつうの渦まき状の殻だけでなくキセル状に細長い殻、毛の生えた殻、芥子粒のようなものから、殻の径が5pを超えるものまで。背骨も手足もないカタツムリのとっかかりとなるのが、殻である。本書の写真は、殻を見えやすくしながら、なかの軟体も自然に伸びた姿を写している。前に向かってしっかり体を伸ばしている姿は、彼らの体の大きさや歩みの遅さを考えると、たいへん気の長い営みを想像させる。
お薦め度:★★★ 対象:自分とは違う生き物を知りたい人
【和田岳 20151030】
●「カタツムリ ハンドブック」武田晋一著・西浩孝解説、文一総合出版
普通のカタツムリの図鑑は、貝殻の画像が中心。ところが、この図鑑は、ほぼすべての写真が生きたカタツムリ。角を出したカタツムリ。こんな図鑑は日本で唯一。
それは良いところでもあり悪いところでもある。軟体部の色や模様や形の情報は貴重なのだけど、分類はたいてい貝殻で行われる。逆に貝殻の形や色や模様が見えにくくなっていることも多く、図鑑としては微妙。貝殻の写真も付ければよかったのに…。とは、うちの貝屋のコメント。
日本産約800種のうち、147種しか載っていないのもちょっと残念。日本を10地域に分けて、それぞれの地域で見られる種(他に広域種も)を示すアイデアはいいけど、それをながめても、やはりどの種か確信を持てない。種を決める参考にする図鑑としては、いま一つかも。初心者が陸貝の多様性を知るためには役立つに違いない
。
お薦め度:★★ 対象:これからカタツムリを勉強してみようって人、あるいはすでにカタツムリにかなり詳しい人
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