友の会読書サークルBooks
本の紹介「苔の話」
「苔の話 小さな植物の知られざる生態」秋山弘之著、中公新書、2004年10月、ISBN4-12-101769-2、780円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]
【田中久美子 20050224】【公開用】
●「苔の話」秋山弘之著、中公新書
身近にいっぱいいるのに、わかってるようでわからない。“コケ”というだけですませてきたけれど、この本を読んでみると、なかなかユニークでしたたかな存在だということが解かる。根がないというのも初めて知った。極寒や熱帯にもそれなりに適応し、乾燥に対しては休眠という手段で乗りきる。水分が補給されれば生きかえる。その保水能力が森を育んでくれる。それ以外にも、コケの生態や楽しみ方がいっぱい。コケッてエライ! コケッてすごい! コケのことを見直す1冊です。
お薦め度:★★★★ 対象:身近な自然を見直してみようという人に
【六車恭子 20050225】
●「苔の話」秋山弘之著、中公新書
世界の陸地の1パーセントはコケ植物でうめ尽くされているという。4億3000万年前に見つかっている最古の植物化石「クックソニア」には既に通道組織や気孔が見られ、陸上環境への適応がみられるそうです。維管束を持たないコケ植物は化石になりにくく、それ以前に地球上に生息していたようです。
おそるべき環境適応能力は受容のシステムを進化させた。集光レンズのような葉緑体をうんだヒカリゴケ、有害なウランや金属を溜め込むヘビノネゴザなど銅ゴケ類、よい香りを放つナンジャモンジャ、コケを利用する生き物の造型の美、などなど。そんなコケ植物にまつわる知られざる生態や文化誌を紐解ける一冊です。
お薦め度:★★ 対象:虫眼鏡で覗く小さな深い世界を知りたい人に
【和田岳 20050224】
●「苔の話」秋山弘之著、中公新書
兵庫県立人と自然の博物館研究員である著者が、広く浅くコケについてのトピックを紹介した本。コケについてはあまり知らなければ、個々のトピックにはとても興味深いだろう。
焚き火跡に生えるヒョウタンゴケに、放尿跡に生えるヤワラゼニゴケ。ウンコに生える上に、臭いでハエを呼び寄せて“胞子散布”させるマルダイゴケ。ドクダミの臭いがしたり、マツタケの香りがしたりするというジャゴケ。サッカリンのような甘みがあるというオオカサゴケ。トリビアには事欠かない。
全体的な紹介に終始して、掘り下げが浅いのは仕方のないところか。
お薦め度:★★ 対象:コケが少し気になる人に
[トップページ][本の紹介][会合の記録]