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本の紹介「こまゆばち」
「こまゆばち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2012年10月号、390円+税
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【西村寿雄 20121216】【公開用】
●「こまゆばち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2012年10月号
ケムシに食べられた木の葉を見つけてすかさずやってきた小さなハチ、近くにケムシがいることを察知する。小さなハチは、ケムシを見つけるとすばやくケムシの背中に飛び乗り、自分の産卵管をケムシの体に差し込む。ケムシはハチに刺されたことなどつゆ知らず、木の枝をゆっくりと歩いていく。しばらくすると、ケムシの体の中に異変が起きる。体内のすみずみで動ごめいている幼虫、ここまで、侵かされているのかと少々びっくりさせられる。次は、ケムシの体内からぞくぞく出てくるこまゆばちのウジ、これも自然のいとなみである。出てきたうじむしたちはまゆを作り新たな命をやどる。その場で寄主のケムシは力つきて死んでいく。大きなケムシの命と多くのこまゆばちの命の交換なのだ。5〜6才向けの本であるが、ページをくると思わず引き込まれてしまう。舘野氏の淡い絵が静かに自然界の宿命を描いている。
お薦め度:★★★ 対象:虫好き小学生低学年から
【田中久美子 20121221】
●「こまゆばち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2012年10月号
”寄生”というとあまりいいイメージは湧かないが、毛虫を家とエサ場にしてしまう こまゆばちは何だか可愛い。1匹の毛虫に数10匹も棲めちゃう小さな小さなハチなのだ。まゆがまた小さくて可愛い。寄生される毛虫には気の毒だが、自然の中の不思議な生態系が見れるのは楽しい。ぜひ実物を見てみたい。実物大は数ミリ…。名前がブランコサムライコマユバチ!? 毛虫ごと鳥に食べられませんように!
お薦め度:★★★ 対象:子供を蜂好きにしたい人
【和田岳 20121221】
●「こまゆばち」澤口たまみ文・舘野鴻絵、福音館書店かがくのとも2012年10月号
ブランコサムライコマユバチのメスがマイマイガの幼虫に産卵。マイマイガの中で幼虫が成長し、やがて出てきて白い繭になる。コマユバチの成虫が羽化し、交尾して、飛び立って行く。そしてマイマイガの幼虫を見つけて再び産卵。とにかく淡々と綴られる。
淡々としてるのもいいけど、もう少し楽しませる工夫があってもよかったかも。カッコウが、マイマイガの幼虫を食べるシーンが挿入されるのだが、どこにもカッコウと書いていない。コマユバチとの関わりも分かりにくい。
お薦め度:★★ 対象:コマユバチの一生がどんな感じか知りたければ
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