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本の紹介「昆虫擬態の観察日記」
「昆虫擬態の観察日記 虫たちが魅せる色と形のヘンな世界」海野和男著、技術評論社、2007年7月号、ISBN4-7741-3136-9、1680円+税
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【和田岳 20071018】【公開用】
●「昆虫擬態の観察日記」海野和男著、技術評論社
世界の昆虫の色々な擬態やカモフラージュが紹介される。写真は美しく、インパクトも強い。葉っぱや花や枝へのカモフラージュ、チョウの擬態。そんな定番を押さえつつ、食べ残した葉っぱに似せたり、ヨモギの花序に似ていたり、鱗翅類の幼虫はなにかしらしてるらしいと思わせたり。コケの上で見事に見えなくなる直翅類、木の皮そっくりのカマキリ。アリに擬態したクモ、カメムシ、カマキリ、さらにはアリギリスって。
このように写真を見るだけなら充分楽しめる。問題は、写真の間のページにはさまれている解説文。控えめに言っても不正確な内容が随所にみられる。よけいな解説をつけずに写真だけを並べて、その説明だけに終始したらよかった。たいへん残念な一冊。
お薦め度:★★ 対象:昆虫の擬態やカモフラージュをビジュアルに見てみたい人、ただし理屈に興味のある人を除く
【萩野哲 20071018】
●「昆虫擬態の観察日記」海野和男著、技術評論社
昆虫の擬態とは何か、@捕食者から逃れるかまたは獲物に見つかりにくくする隠蔽的擬態と、A捕食者に警戒を与える目立つ擬態の例を、豊富な写真に基づいて解説している。@では、冬芽が芽吹くにつれて成長を同調させているカギシロスジアオシャク幼虫やヨモギの花に潜むハイイロセダカモクメなどが見事。Aでは、有毒な蝶に擬態する無毒な種の例が楽しくなるほど多数盛られている。また、ハチ、アリ、テントウムシのような“嫌がられる”虫への擬態も面白い。
お薦め度:★★★ 対象:進化の極致の一端を味わいたい人
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