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本の紹介「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」
「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界 地球上で最も反映する生き物の起源から進化の5億年」大場祐一・大澤省三・昆虫DNA研究会編、悠書館、2015年11月、ISBN978-4-86582-007-2、4500円+税
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【萩野哲 20160225】【公開用】
●「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」大場祐一ほか編、悠書館
分子系統学の手法が進歩するにつれて、様々な生物の系統が明らかになりつつある。昆虫でも同様で、本書のタイトルから推察されるように、多様な昆虫の系統をたどっている。しかし、それのみにとどまらず、昆虫の生活の背景にも言及しており、それに関連する角や斑紋など、彼らの形態進化のメカニズム、擬態、平行進化、更には分布の歴史的背景など、話題は多岐にわたっている。なぜ昆虫は動物界最大の種数を誇るに至ったのか? その疑問に少しずつ迫ることができる時代になってきた。
お薦め度:★★★★ 対象:昆虫の不思議に興味があり、その世界を知りたい人
【和田岳 20160226】
●「遺伝子から解き明かす昆虫の不思議な世界」大場祐一ほか編、悠書館
DNAの塩基配列やタンパク質など、分子レベルで昆虫を系統から形態、行動・生態まで研究した成果を扱った大作(600ページ以上ある)。 「第I部 分子系統樹が解き明かす昆虫の進化のドラマ」は、昆虫の系統関係、分布と種分化の歴史についての成果がさまざまに紹介される。「第II部 めくるめく昆虫の多様ないきざま」は、分子生態学って感じ。「第III部 分子レベルで明かされる昆虫進化の不思議」は、主に形態と行動の背景にある分子メカニズムが扱われる。
第1章の昆虫の目レベルの系統関係の話はとても勉強になった。あとは、まあ昆虫の多様な側面への分子レベルのアプローチが、思いつくままにいろいろと紹介されていく感じ。全体的にまとまり感が少ない。
お薦め度:★★ 対象:昆虫の系統や進化に興味のある人
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