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本の紹介「クジラの骨と僕らの未来」
「クジラの骨と僕らの未来」中村玄著、理論社、2021年7月、ISBN978-4-652-20436-8、1300円+税
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【冨永則子 20211001】【公開用】
●「クジラの骨と僕らの未来」中村玄著、理論社
中学生時代、少ないお小遣いをはたいてフトアゴヒゲトカゲという爬虫類をペットにしたことから“ハチュウ”というアダ名を付けられた生き物好きの少年が、理科の授業で生の豚と牛の内臓と骨を見て触ったことから、生き物の骨に興味を持ち始める。高校生となり、南米のアルゼンチンへ留学しクジラに出会い、その後、水産大学に入学して、漂着クジラの解体に立ち会ったり、調査員として調査捕鯨船に乗り込んでクジラを研究対象にしていく。そこで、改めて自分の興味があるのは“骨”なんだと気付く。本人は手探りながらも、周囲の人々の支えや協力があったからこそ突き詰めていくことができたのであって、人との出会いって大切だなと思う。調査捕鯨を妨害するシー・シェパードの件は、中の人の言葉を聞くことがないので、なかなか面白かった。
お薦め度:★★★ 対象:知らない世界を知れば、あなたの世界も変わるかも?
【和田岳 20211011】
●「クジラの骨と僕らの未来」中村玄著、理論社
動物好きホネ好きの子どもが、ホネ経験とクジラ経験を積んで、クジラのホネ研究者になっていくまでが描かれる。
前半は、中学生の頃、ハムスターやタヌキを骨格標本にした経験。高校生時代に、アルゼンチンに留学し、その際もホネが気になったこと。大学生になってからは、魚の骨格標本作りにはまり、ホネホネサミットにも出展。そして、卒論では、クジラの研究室の門をたたく。
後半のメインは、南氷洋での調査捕鯨の航海記。そして、博士論文のためにミンククジラのホネを調べまくった話。
面白いことがいろいろ書かれているけど、不満なのはデータがさっぱり出てこないこと。解体したクジラの具体的なサイズすら出てこない。大人の事情があるの? 発表した論文のデータくらい出せばいいのに。データも調査結果もなく、ひたすら調査エピソードが連なる。隔靴掻痒感が強い。
お薦め度:★★ 対象:調査捕鯨の様子に興味があれば
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