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本の紹介「クジラのおなかに入ったら」

「クジラのおなかに入ったら」松田純佳著、ナツメ社、2021年11月、ISBN978-4-8163-7105-9、1300円+税


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【和田岳 20220506】【公開用】
●「クジラのおなかに入ったら」松田純佳著、ナツメ社

 北海道大学でクジラのストランディング研究に出会い、ストランディングの研究機関をつくるという目標をもって、クジラの研究者に向けて邁進する著者の成長物語。
 大学生になって、なんとなく航路調査とか、ストランディング調査に加わる。もっとスキルをあげたくて、解剖を学び。消化管内容のイカを同定するためにイカの研究者に弟子入り。さらに安定同位体比分析を学び、イシイルカ・ネズミイルカ・カマイルカの食性を研究。
 研究者になるプロセスの話と、ストランディング調査のエピソード、一般的クジラ類やストランディング調査の説明が、上手に混じっている。そして、自身の研究成果もちゃんと示してくれて、興味が持てた。

 お薦め度:★★★  対象:クジラのストランディング調査を紹介した本を読むなら 知りたい人
【冨永則子 20220505】
●「クジラのおなかに入ったら」松田純佳著、ナツメ社

 小さい頃から動物好きだった少女が、ぼんやりと海に関する大学がいいなぁと検索していて“北海道大学鯨類研究会”というサークルの存在を知る。そこから北大受験を決め、一浪の上、入学。クジラのストランディングに関わることになり、いまやNPO法人化してしまうまでのお話。「そうだ、私、クジラが好きなんだった」と思ったところからスタートしているが、なぜ好きなのか?どうして好きなのか?は触れられていない。それぐらい漠然とした想いでも、偶然と努力が必然と出会いを生んで今に至っているのかな? 本著の中にも科博の田島木綿子さんの名前が憧れの偉大な先輩として度々出てくる。やはり、彼女はストランディング業界の先駆者なんだな。田島木綿子さんに興味のある方は『海獣学者、クジラを解剖する』をどうぞ。

 お薦め度:★★★  対象:現世で最大の哺乳類に興味を持ったらどうなるか知りたい人に 知りたい人
【萩野哲 20220426】
●「クジラのおなかに入ったら」松田純佳著、ナツメ社

 著者が鯨類研究者の道に志し、職を得てこれから、までの普通の理系人の半生をほぼ時系列に記した書籍。ストランディングするクジラの種類、クジラの胃内容物、あるいは NPO法人、いずれについての情報もそれほど詳しくない。どれかに絞ってもう少し深掘りした方がよかったのではないかと感じた。

 お薦め度:★★  対象:クジラとストランディングについてサラッと知りたい人 知りたい人
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