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本の紹介「黒部の谷の小さな山小屋」

「黒部の谷の小さな山小屋」星野秀樹著、アリス館、2023年5月、ISBN978-4-7520-1062-3、1600円+税


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【西村寿雄 20231223】【公開用】
●「黒部の谷の小さな山小屋」星野秀樹著、アリス館

 黒部渓谷の阿曽原温泉小屋。谷底に立つ小さな山小屋は雪が溶けて、7月なかばに開け、10月の終わりまでお客さんを受け入れる。そしてまた、深い雪の中に埋もれていく。そんな山小屋の組み立てから解体までを写真で追っていく。たった数ヶ月の営業だが、毎年、組み立てと解体を繰り返し、信じられないような崖っぷちに道を作り、お客さんを迎える。新緑に彩られた景色は、写真からでもその緑の濃さに圧倒される。人はなぜ山に登るのか、それは山があるから…と言われるが、こんな道なき道の崖っぷちを辿っても登りたいものなのかなぁ。

 お薦め度:★★★  対象:フツウの人がしないことをやってみたい人に
【ケンタロウ 20231222】
●「黒部の谷の小さな山小屋」星野秀樹著、アリス館

 長野県在住の写真家、星野秀樹さんが黒部の人と自然の魅力にひかれ黒部の谷に通い続け、黒部峡谷に夏から秋の間だけ建っている阿曽原温泉小屋の主人、佐々木泉さんにカメラを向けた。
 阿曽原温泉小屋は、上流にある黒部ダムから欅平駅あたりまで続いている「黒部の谷」という谷の途中にある山小屋である。冬のあいだは、山の斜面からなだれおちる大量の雪に押しつぶされないために山小屋が解体されている。泉さんたちは、6月に山小屋を建て直し、7月から10月まで山小屋を開けて登山客を受け入れている。11月になると、また山小屋を解体する。このような阿曽原温泉小屋の営みに躍動感のある写真と黒部の谷の写真とが一緒に紹介されている。

 お薦め度:★★★  対象:阿曽原温泉小屋や黒部の谷に興味のある人、また行って好きになった人たちへ
【里井敬 20231219】
●「黒部の谷の小さな山小屋」星野秀樹著、アリス館

 黒部の谷の奥にある、阿曽原温泉小屋という小さな山小屋の物語です。冬の間は畳んでしまう、文字通り本当に解体して畳んでしまう。6月になるとトンネルの中に保存していた鉄骨とパネルで再建します。
 トロッコ列車に乗って、水平歩道という岸壁をくりぬいた道を通り、真っ暗なトンネルをくぐり、川の中を歩いてやっとたどり着きます。登山者の食事の世話、遅く着く人の心配、出発する人のお見送り、山小屋なのに温泉がある。一般登山客の為の道の補修だけでなく、岳人の憧れの黒部ダムへと続く下の廊下という渓の中のルートの整備もします。そして、11月の初め、冬の雪に押しつぶされないように、元の材料に戻して小屋じまいをします。
 きびしい自然に逆らわないように建っている、この小屋のお陰で黒部の谷に入ることが出来ます。

 お薦め度:★★★★  対象:山と渓の大好きな人
【冨永則子 20231217】
●「黒部の谷の小さな山小屋」星野秀樹著、アリス館

 黒部峡谷を歩いて北上すると小さな山小屋「阿曽原温泉小屋」にたどり着く。ここが「黒部の谷の小さな山小屋」である。黒部の山奥は冬になると深い雪に閉ざされる。ふつうの山小屋ではその雪につぶされる可能性があるので考えられたのは、毎年秋に小屋をこわして次の夏が来る前にまた建てるという。また、登山道も雪の重みで崩れることもしばしば、それを補修している人もいる。この本ではこんな過酷な奥深い森のようすが美しい写真で紹介されている。

 お薦め度:★★★  対象:アルプスを制覇したい人
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