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本の紹介「今日もあまはいくまはい」
「今日もあまはいくまはい 衛生監視員の苦情処理簿から」平川宗隆著、ボーダーインク、2001年10月、ISBN4-89982-018-6、1500円+税
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【瀧端真理子 20041121】
●「今日もあまはいくまはい」平川宗隆著、ボーダーインク
ふだん知ることのない保健所衛生監視員の仕事を紹介した本。ただし、舞台は沖縄。なので1冊で、衛生監視員の仕事と、沖縄の県民性を垣間見ることができる。
糸満のおばさんたちは、漁師(自分の旦那)から魚を買い取り、商いをしていた(夫婦独立採算制)とか、糸満市場の露天売りのおばさんたちを追い出すかわりに、衛生監視員が空き店舗をあっせんしてあげたり、と沖縄の風俗・習慣や人情が心地よく伝わってくる。
薬事法違反の健康飴や、食品衛生法違反のチクロ入り乾燥梅干しは、台湾からの密輸品。那覇市民の胃袋を預かる公設市場で売られる温屠体の食肉や、きれいでない漫湖で採った蟹。法律と文化のはざまで奮闘する衛生監視員の働きぶりが、控えめかつ豊かに描かれている。
さらに深めたい人には、沖縄オバァ研究会編『沖縄オバァ烈伝』双葉文庫(2003)がおすすめ。
お薦め度:★★★ 対象:沖縄の風を感じてみたい人
【西川裕子 20041208】
●「今日もあまはいくまはい」平川宗隆著、ボーダーインク
衛生監視員ってなに? それは、飲食店の営業許可を出したり、食中毒の調査をしたり、悪臭の原因を追究したりと、地域の環境衛生のために走り回っている人のことを言うのです。
衛生監視員だった著者はその苦情処理簿から、面白い事例をピックアップ。あまりなじみのない話の切り口なうえ、沖縄という地域柄も手伝って、ものめずらしさ満点。トピック一つ一つが短いので非常に読みやすい反面、すこし物足りない感もあり。
お薦め度:★★★ 対象:気楽に本を読みたい人向け
【六車恭子 20050222】
●「今日もあまはいくまはい」平川宗隆著、ボーダーインク
世の中、だれもが憧れる花形職業もあれば選択肢にも上がらない職業もある。沖縄の保健所で衛生監視員として日々市民の苦情処理に奔走した事件簿を一話読み切り形式で綴ったもの。
ペットの苦情、食品への異物混入の苦情、悪臭騒ぎ、O-157などの食中毒問題、その時の世情を反映した事件の影で東奔西走している著者たちの姿や人の暮らしぶりが垣間見える。人の暮らしの安全弁はあらゆる総合知識を要するこういう職場の人々の日々の活動で支えられているようだ。行政にどんな相談窓口があるかをリサーチする意味でもこの本をひもとく価値はありそう。
お薦め度:★★ 対象:暮らしを守るために相談窓口を探している人
【和田岳 20041210】
●「今日もあまはいくまはい」平川宗隆著、ボーダーインク
著者は沖縄県の保健所に勤める衛生監視員。そこに持ち込まれるさまざまな苦情やトラブル、そしてそれにどう対処したかがつづられる。飲食店や食料販売関係、食品への異物混入の話が多いが、寄生虫、害虫、ペット、野外の毒虫・ハブなど自然がらみの話も出てくる。ちなみにタイトルの「あまはいくまはい」というのは、沖縄の言葉で「あっちこっち歩き回る」といった意味だそうな。次から次へのエピソードが語られテンポはいいものの、興味深い話題の場合は物足りなさが残る。
お薦め度:★★ 対象:沖縄での生活を垣間見たい人
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