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本の紹介「恐竜の復元」

「恐竜の復元」犬塚則久文・廣野研一絵、福音館書店たくさんのふしぎ2023年12月号、700円+税


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【中条武司 20240425】【公開用】
●「恐竜の復元」犬塚則久文・廣野研一絵、福音館書店たくさんのふしぎ2023年12月号

 私が子どもの頃の恐竜の復元は、今と大きく違っていた。その名残はうちの館のアロサウルスに見られるくらい。なぜ、恐竜の復元は今と昔では変わるのか、昔と今の復元画を並べて、一部は姿勢の変わった理由も含めて描かれている。トリケラトプスの首の角度は、三半規管の向きから推定しているのは知らなかった。この本を読んで、今の復元の最終回答ではないんだよと多くの人に知って欲しいけど、それが最初に小さく書かれているだけなのが残念。

 お薦め度:★★★  対象:何気なく恐竜の復元を見ている人
【坂田洋乃 20240425】
●「恐竜の復元」犬塚則久文・廣野研一絵、福音館書店たくさんのふしぎ2023年12月号

 誰も見たことのない「恐竜の生きた姿」を復元するために、研究者が何を手がかりにどんな推論を立てているのかがイラストと平易な文で紹介されている。
 肉食か草食かで目の向き(正面か横向きか)が異なったり、こずえの葉と地面の葉のどちらを食べるかで口先の形に違いがでたり、 過去の恐竜を知るにはとにかく現生生物の生態・骨格などの知識が不可欠だと納得。
 絵面的にも数億年前の恐竜と現生のトラやウシが横並びに比較されているのはちょっと面白い。
 そのほか過去の誤った復元の修正の歴史も紹介されていて、答えの無い問いに向きあい続けてきた研究者の姿も目に浮かぶ。見て読んで想像して楽しい絵本。

 お薦め度:★★★  対象:恐竜の姿を想像したことのある人
【里井敬 20240425】
●「恐竜の復元」犬塚則久文・廣野研一絵、福音館書店たくさんのふしぎ2023年12月号

 小さい不思議な形の骨や石から、昔の人は竜や天狗を想像しました。もっと沢山の化石が発掘され、それらが象の骨やサメの歯の化石と分かりました。巨大な骨や歯が見つかり、恐竜と名付けました。どんな形や生活をしているのか。現在の今生きている動物から想像し、謎解きです。足の付き方から運動の仕方。眼の位置から食性、口の形から食べ方、足の形から肉付き…。想像します。完全な姿の化石は少なく、バラバラで見つかることがほとんどなので、間違いは多いです。卵と一緒に見つかったことから、食べていたのだろうと「卵泥棒」と名付けられたのが、後に「卵のお世話をしていた」と修正された例もあります。どんな暮らしをしていた。の謎もまだまだ変わっていくし、永遠に分からないままもあるでしょう。恐竜の復元は今生きている動物の骨とからだの仕組みを調べることにつながります。

 お薦め度:★★★  対象:恐竜が好きな人
【冨永則子 20240411】
●「恐竜の復元」犬塚則久文・廣野研一絵、福音館書店たくさんのふしぎ2023年12月号

 地面の下から出てきた骨や歯…。昔の人は見たことのない骨や歯を天狗や竜など想像上の生き物の遺骸だと思っていた。時代が進み、それは想像上の生き物ではなく、恐ろしく大きなトカゲの仲間ではないか?と思われるようになり、『恐竜』といわれるようになる。骨などの遺骸から生前の姿を蘇らせるには、やはり、原生の生き物の姿が参考にされる。骨のつながりなど骨格には、ある程度のきまりがあるから、とんでもなくヘンテコリンな姿形にはならないようだ。現代ではCTスキャンなどを使い、骨と筋肉のつながりや三半規管の角度など細かな研究が進み、恐竜の姿は昔とはずいぶん変わってきた。原生の人間の研究能力の進歩によって、過去の恐竜の姿が変わっていくのが面白い。我々は、過去をよりよく、より正確に知るために進歩していくのだな。

 お薦め度:★★★  対象:恐竜好きのすべての人に
【西村寿雄 20240424】
●「恐竜の復元」犬塚則久文・廣野研一絵、福音館書店たくさんのふしぎ2023年12月号

 文を書いた犬塚さんは古くからの脊椎動物の骨のつながりを研究してきた人、『恐竜の骨をよむ』などの著書もある。『恐竜復元』を出したのは1997年。恐竜化石は出た時はほとんどの骨はバラバラ。その骨をもとにいかにして生きた姿に復元していくか、どんな生活をしていたのかを明らかにするのかが復元作業である。現生の脊椎動物の骨のつながりをくわしく調べて化石から復元していくという。過去の復元骨格と比べて最近の復元骨格も各所に示されている。だいたんなイラストで子どもにもわかりやすい構成になっている。

 お薦め度:★★★  対象:恐竜好きの子どもから大人まで
【和田岳 20240424】
●「恐竜の復元」犬塚則久文・廣野研一絵、福音館書店たくさんのふしぎ2023年12月号

 恐竜の復元を、過去と現在で対比して、その歴史の一端を紹介する一冊。
 まずは脚の付き方が、ワニ型からサイ型に変わったこと。そして、近年で一番大きな変更点である、尻尾を垂らしたゴジラ型から、尻尾を後ろに伸ばした現在のスタイルへの変更。
 目の付き方から、肉食獣と草食獣を判断でき。口先の形から樹上の葉っぱを食べるか、地面の草を食べるかの評価できる。三半規管の角度から頭の角度を検討。何を根拠にどう復元されたかが判るページは面白い。ケン竜の背中の板にカバーが付いていたことになった理由はなんだろう?

 お薦め度:★★★  対象:恐竜の復元が気になる人
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