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本の紹介「未知なる地底高熱生物圏」
「未知なる地底高熱生物圏 生命起源説をぬりかえる」トーマス・ゴールド著、大月書店、2000年9月、ISBN4-272-44028-4、3800円+税
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【和田岳 20040227】【公開用】
●「未知なる地底高熱生物圏」トーマス・ゴールド著、大月書店
著者は、天文学、地質学、生理学など様々な分野に首をつっこんでは、門外漢ならではの視点で、しばしばその分野の常識を覆してきた研究者。その著者が、地底高熱生物圏をひっさげて生物学に殴り込みをかける。
地底高熱生物圏とは、数キロメートルを越える地下に、多くの最近など微生物が生息しており、その量は地表の生物圏にもひけをとらないというもの。著者の主張は、さらに地底高熱生物圏こそが地表を含めた地球生物の起源であり、それは地球以外の惑星や衛星にもある可能性にまで言及する。こうなるとSFを読んでいるような気分。
このように内容はとてもおもしろいのだが、気になるのは翻訳のまずさ。一読では頭に入ってこないこなれていない文がやたらと目立つのが残念。
お薦め度:★★★ 対象:SFのような話に興味のある人
【寺島久雄 20040207】
●「未知なる地底高熱生物圏」トーマス・ゴールド著、大月書店
地球の深海艇で高熱の環境において、微生物を持続的に排出している(TVでも最近放映されている)。それは、ヘリウムと炭化水素(生物起源となる)のたまりである地底高熱生物圏が存在し、超好熱細菌が生息している生命圏の存在を証明する革命的な著書である。
推測する、想像の産物、その想像こそが研究者にとって白黒つけたり、道筋を考え出す推進力となると著者はこの地底高熱生物圏仮説の研究の原点としている。
お薦め度:★★★ 対象:地質に興味ある人に
【中条武司 20040227】
●「未知なる地底高熱生物圏」トーマス・ゴールド著、大月書店
彼は誰も想像しえないようなすばらしい料理を思いついた。それは世界の美味珍味の食材を集めて作るため、誰も食べたことないようなすばらしい料理になると主張する。また、食材のいくつかを味見してみたが、それから考えてもすばらしい料理になるだろうと。しかし、その料理を作るのには、食材を集める莫大な費用と超一流の料理人が必要なため、実現は現実的には不可能である。確かに一つ一つの食材はすばらしいと思うのだけど、それでは味がけんかしてしまうのではないかと私は思って彼に忠告してみたが、彼は固定観念に縛られているからダメなんだよと聞き入れもしない・・・・そんな本です。
お薦め度:★★ 対象:良くも悪くも独創的な考えにふれてみたい方
【中条武司 20040227】
●「未知なる地底高熱生物圏」トーマス・ゴールド著、大月書店
現在非常に着目されている地下生物圏について、著者の自説である石油無機起源説と合わせて紹介している。著者の主張は納得させられる部分もあるが、それ以上に突っ込みたくなる部分がありすぎて、最後にはどこに突っ込んだらいいかさえもわからなくなる、自らの主張を繰り広げるために、相手の主張をことごとく認めない。それがあなたの忌み嫌う固定観念に縛られた考え方だよ、といっても聞き入れないんだろうなあ。
お薦め度:★★ 対象:良くも悪くも独創的な考えにふれてみたい方
【六車恭子 20040116】
●「未知なる地底高熱生物圏」トーマス・ゴールド著、大月書店
地球表層で栄える生物圏、そのさらなる奥深くにもう一つの生物圏があるという。太陽光の届かない高熱の世界で彼らは過去に無限に貯蔵された炭化水素の流体から酸化過程で得られる化学エネルギーを糧としているという。著者ゴールドは定説である化石燃料といわれる石油・石炭や天然ガスは彼ら微生物による化学変化を経て地上にもたらせる炭化水素の変成だと考えている。海底の熱水噴出孔や泥火山や地震多発地帯の小丘こそこの未知なる地底高熱生物圏を覗き見る入り口のようだ。
ショッキングな赤い表紙、その見返しも赤。これはまだ確たる生存権を獲得していないが地底高熱生物圏から届けられた資源を乱用する人類への警告書ようにも思える。
お薦め度:★★★ 対象:地球の成り立ち、生命の始まりに興味のある人
【六車恭子・岡本素治 20040201】
●「未知なる地底高熱生物圏」トーマス・ゴールド著、大月書店
地球表層で栄える生物圏、そのさらなる奥深くにもう一つの生物圏があると いう。太陽光の届かない高熱の世界で彼らは過去に無限に貯蔵された炭化水素
の流体から酸化過程で得られる化学エネルギーを糧としているという。著者ゴ ールドは化石燃料といわれる石油・石炭や天然ガスは地表生物の変成したもの
だという定説に反対し、地球が誕生したときに、もともとあった炭化水素が、 時間をかけて表層へ出てきたのだと考えている。では、なぜ石油に生物活動の
断片が見られるのか。それこそが、地底でこの炭化水素を糧として生まれてきた生物たちの残骸だというわけだ。
炭化水素はあらゆる惑星の誕生時に、基本的にその構成物質としてあったと 考えられている。とすれば、地球型生命であるか否かは別として、多くの惑星
が地下に生命を宿している可能性があるということになる。NASAの火星探査プロジェクトが地下までを視野に入れているかどうか、それがゴールド説のアメリカにおける現時点での評価と言えるかもしれない。
海底の熱水噴出孔や泥火山や地震多発地帯の小丘こそこの未知なる地底高熱 生物圏を覗き見る入り口のようだ。
ショッキングな赤い表紙、その見返しも赤。これはまだ確たる生存権を獲得していないが地底高熱生物圏から届けられた資源を乱用する人類への警告のようにも思える。
<六車>お薦め度:★★★ 対象:地球の成り立ち、生命の始まりに興味のある人
<岡本>★★★★ 対象:斬新な考えに頭をぶん殴られることが好きな人、とに
かくおもしろい
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