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本の紹介「ミクロの社会生態学」
「ミクロの社会生態学 ダニから動物社会を考える」斎藤裕著、京都大学学術出版会、1999年6月、ISBN4-87698-303-8、2100円+税
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【河上康子 200306276】
●「ミクロの社会生態学」斎藤裕著、京都大学学術出版会
1mmに満たないハダニの世界に魅せられ、その微小な生息環境のなかで繰り広げられる、ハダニの多様な生活史や生態の解明に、一心に挑んできた著者の研究史。専門的な研究の内容はやや難しい部分もあるが、文章は非常に丁寧であり、こんな小さな生き物の世界が、こんなにも複雑であることに素直に感嘆する。また、著者の研究者としての考え方には共感できる部分が多く、楽しい。とりわけ、今後の研究の進展で、もし自説がくつがえされることがあっても、事実を知ることが科学者の喜びであると、気負いなく語る姿勢には、その肩書きを超えて、著者がごく身近な研究者仲間であるような感情を覚える。
お薦め度:★★★★ 対象:生態学の研究者をめざす大学生以上
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