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本の紹介「宮本常一が見た日本」

「宮本常一が見た日本」佐野真一著、日本放送出版協会、2001年10月、ISBN4-14-080639-7、1785円+税


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【六車恭子 20070222】
●「宮本常一が見た日本」佐野真一著、日本放送出版協会

 2007年は宮本常一生誕100年にあたる。著者は1997年「旅する巨人」で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した作家である。この本はかっての宮本常一の足跡を追体験した旅の記録であり、今と昔が微妙に混ざり合い宮本のまなざしがより露になる瞬間がある。見いだし見いだされた生涯の恩師渋沢敬三とのこと、旅するスタイルの確立、民俗誌でなく生活誌をこそ記録し、「学問は木、人間は伝承の森、人間に向かって歩け!」、「主流になるな、傍流であれ、見落とされたものの中に大切なものがある、それを見つけてゆこう。」……。「記憶に残ったものだけが記録にとどめられる」宮本常一の記録する精神は、忘れられた日本の受け継がれてきた伝承の無数の地図となり、いながらにしてめぐる旅であった、と思える。

 お薦め度:★★★★  対象:駅や郵便局が民俗学の始まり?、と思った人ならだれでも

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