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本の紹介「水辺の番人 カワウ」

「水辺の番人 カワウ」中川雄三著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年11月号、667円+税


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 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
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【冨永則子 20180223】
●「水辺の番人 カワウ」中川雄三著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年11月号

 カワウは全国どこでも見られる水鳥で、遠目には体が真っ黒に見えるのでカラスと勘違いされるそうだ。真っ黒に見える羽も、よく見ると金茶色のウロコ模様で、目は緑色に透き通っている。カワウが大きく羽を広げている姿を見たことがあるが、水鳥なのに羽の油分が少なく水が染み込みやすいので乾かしていたのだ。水に馴染むことで抵抗をなくし、より潜りやすくなっているそうだ。
 水辺の開発が進み、一時期は絶滅の危機にさらされると思われたが、自然環境の回復と共に、もともと繁殖力が強いので、あっという間に数を回復させ、今では「川のギャング」とよばれるほどの害鳥扱い。ニンゲン様は自分勝手な生き物だ。
 地上から川や海に流れ込んだ養分で育ったサカナを食べるカワウが繁殖地やねぐらで糞をすることでその養分をまた地上に戻す…。カワウは水辺の生態系の頂点に立ち、水辺の生態系をコントロールしている、だから「水辺の番人」だ!と言い切らないのが腑に落ちない。印刷のせいなのか、どの写真も何故かピントが甘い気がするのは私だけ?

 お薦め度:★★★  対象:生態系の維持と自然環境の保全に関心のある人に


【西本由佳 20180218】
●「水辺の番人 カワウ」中川雄三著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年11月号

 カワウは大きな鳥です。金茶色のうろこのような羽と、エメラルドグリーンの瞳をもっています。かぎ型にまがったくちばしは、魚をとらえるのに適しています。水のなかを潜るのがとても得意です。そのために、羽は水がしみやすくなっています。潜るのにはそれでいいのですが、飛ぶのには、体が重くなるのでよくありません。そこで、カワウは羽をいっぱいに広げる日光浴をよくします。たいへんのどかな光景です。水のなかから魚をとらえて食べて、陸上でフンをするカワウは、生態系のなかで栄養が循環するのに大切な役割をもっています。そして、体の大きなこの鳥が生きていけるということは、そこに自然がちゃんと残っているということです。

 お薦め度:★★★  対象:害鳥としてのカワウしか知らない人に


【西村寿雄 20180219】
●「水辺の番人 カワウ」中川雄三著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年11月号

 カワウは池や湖の周辺でコロニーを作って多量の糞害で樹木を枯死させることがしばしば起きている。そのカワウを各地の湖や川をめぐって写真に収めた一冊である。著者の中川さんは「むかしも今も、優れた自然の残る水辺に暮らし、まるで豊かな水辺の番人・守り人のように見えるのが、カワウたちの本来の姿なのだと思います」と書いて、カワウの本来の姿を追っている。「カワウは自然界での養分の循環に貢献しているのです」「カワウは小さな魚たちにとっても味方になります」と中川さんは書いているのだがどうだろうか。カワウの鳥としての能力と生態がわかる本ではある。

 お薦め度:★★★  対象:鳥好き小学生から


【和田岳 20180215】
●「水辺の番人 カワウ」中川雄三著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年11月号

 カワウの暮らしを、採食から繁殖まで、写真を多用して紹介してくれる。水中での活動をとらえた画像や、さまざまな魚をくわえた画像は楽しい。現在は数が増えて、その害ばかりがクローズアップされる日本のカワウが、一時期、絶滅の危機にあったことも紹介される。大型の魚を多く食べるカワウが、日本の水辺の生態系でどういう機能を持っているのかを考えるのも良い感じ。ただ、“自然界での役割”という表現はいただけない。そして残念ながら、気になる点が他にも多々ある。羽根が濡れる理由、木にとまれるわけ、ねぐらへの戻り方、絶滅危惧の状況。写真集として見た方がいいかもしれない。

 お薦め度:★★  対象:カワウの写真集に興味があれば


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