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本の紹介「森の「恵み」は幻想か」
「森の「恵み」は幻想か 科学者が考える森と人の関係」蔵治光一郎著、同人社、2012年5月、ISBN978-4-7598-1346-3、1700円+税
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【中条武司 20150226】【公開用】
●「森の「恵み」は幻想か」蔵治光一郎著、同人社
緑のダムや水源涵養林などという言葉はよく聞くが、実際に樹種や地域、降水量と流出量の比較などを行った様々な場所の研究例を引きつつ、それらの実際のところを解説している。が、最終的にはよくわからないと言うところに落ち着いているようでなんか不完全燃焼。言葉遊びというか数字遊びというか、よくわかってないよという結論を出すために、様々な策を弄しているような感じもする。もうちょっとスッキリと書いてくれ〜。
お薦め度:★★ 対象:水資源と森の「作用」を知りたい人
【森住奈穂 20141217】【公開用】
●「森の「恵み」は幻想か」蔵治光一郎著、同人社
森の作用と聞いて思い浮かべるのは、木材供給、保水機能や水質浄化、二酸化炭素吸収など、いいイメージがほとんどだ。著者はまず作用(メカニズム)と機能(恵み)の定義を述べ、自然現象と人間側の都合を分けて論じる必要性を説く。伐採と植林を繰り返して現在、森の社会的価値は地球温暖化や災害の防止、水資源の確保へと変わりつつある。それらをを章立てて現状や課題を提示していく。森の作用は立地・気候・植生など、さまざまな条件によって異なることから説明がとても難しく(理解はさらに難しい!)、その故、マスコミが流す心地よい話に浸りがちだが、それでは人間の思考は停止してしまう。警鐘を鳴らすことが科学者の使命であると著者は語っている。
お薦め度:★★★ 対象:森に関心のあるひと
【和田岳 20141219】
●「森の「恵み」は幻想か」蔵治光一郎著、同人社
一般に、森の恵みといわれ、森があると洪水が起こらず、渇水も起こらないとされがちだけど、科学的に見たら本当はどうなのか、って話が展開する。著者は、いっぱんの常識を覆すのが好きそうな東大の先生。
森は雨水を貯め込むと同時に、相当な量を蒸発させてるらしい。雨が降ってる最中でも蒸発しまくってるというから不思議。で、森があると洪水や渇水は緩和されるかというと、いまひとつ分かっていないのが実情。ただ、河川の年間の総流量は、森がある方が少なくなり、針葉樹の植林より広葉樹林の方が少なくなるらしい。ちょっと常識と違う。
お薦め度:★★ 対象:森の恵みを頭から信じてる人で、漢字が並んだ用語について行ける人
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