友の会読書サークルBooks
本の紹介「もしも人食いワニに噛まれたら!」
「もしも人食いワニに噛まれたら!」福田雄介著、青春出版社、2021年7月、ISBN978-4-413-23210-4、1600円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]
【和田岳 20211011】【公開用】
●「もしも人食いワニに噛まれたら!」福田雄介著、青春出版社
高校生の時に急にワニの研究者になることを思い立ち、オーストラリアの大学に進んで、見事にワニの研究者になって、オーストラリアでワニの調査に従事している著者。
そんな著者が、Q&A形式で、ワニに襲われないためには、ワニの形態・行動・生態、そして乱獲の歴史と共存への課題。ワニのさまざまな側面を紹介した一冊。とにかく、ワニがいそうな水辺に近寄る時は、決して1人では行かず、バットを持って、瞬時に横っ飛びする心構えを。
2〜7ページのトピックが並ぶのだけど、不思議にまとまりがあって、ワニについていっぱい勉強したような満足感がある。オーストラリアは、遠いので、とりあえずこの本を持って動物園でワニを見てみたくなった。
お薦め度:★★★★ 対象:ワニのこと知りたい人、知ってるつもりの人
【冨永則子 20211001】
●「もしも人食いワニに噛まれたら!」福田雄介著、青春出版社
“もしも人食いワニに噛まれたら”って、そんなの食べられて死んじゃうよ!と思うでしょ? それが然に非ず! ワニに襲われて実際に“食べられた”という例は意外に少ないらしい。ワニに襲われたと思われる遺体が発見され、その腕が一本欠損していたとしても、実際の死因の殆どは溺死になるそうだ。ワニに対するイメージから獰猛で情け容赦なく餌となるものなら何でもガブガブと食べてしまうと思っていたが、噛み付く瞬間は目をつぶるとか、とりあえず噛み付いて水中に引き込み、食べられるかどうか吟味して美味しかったら食べるとか、お腹が一杯になったら食べ残して、また後で食べるとか、なかなか上品なグルメっぷりだ。将来の夢も希望もなく、灰色の日々を過ごしていた高校生が、たまたまワニのドキュメンタリー番組を見て「ワニの研究者にならねば!」と思い立ち、一念発起、オーストラリアの大学に入学し、とうとう本当にワニの研究者になってしまう。ワニの神様にワニ愛を授けられたような著者によるワニ愛の啓蒙書である。
お薦め度:★★★★ 対象:知ってるつもりでも意外と知らないことを知りたい人に
【萩野哲 20210912】
●「もしも人食いワニに噛まれたら!」福田雄介著、青春出版社
著者はオーストラリアのノーザンテリトリーで主にイリエワニを研究している。目次より前に“ワニの世界”として世界3グループのワニが簡単に紹介されている。第1章はタイトルに回答すべく、ワニからの“逃げ方”を指南している。第2章ではワニの体の特別仕様をQ&Aで教えてくれる。ワニの前足は5指、後足は4指(小指骨はあるものの内在)で薬指と小指には爪がないことを覚えておこう。長時間潜水できるのは心臓の機能によるんだって!第3章はワニの生態の一部が説明されている。繁殖についてあまり詳しくないのは残念。それでもワニは好奇心旺盛で、浮き球を齧りに来ることでワニの存在が明らかになる話は面白い。第4章では標準外の巨大ワニのロマンが語られる。平均的な最大全長4.6mのイリエワニでは過去に6m超の個体の確実な記録が複数残されている。第5章では著者の仕事とノーザンテリトリーのイリエワニ保護の現状などが紹介されている。ここのイリエワニは戦後の乱獲で97%減少したが1970年代の保護開始から今まででほぼ元の個体群レベルに復活した。今後の政策については未定のよう。IUCNのワニ専門家グループは800人もの会員がいるそうで、ワニ人気と、ワニ全体を網羅した研究が難しい事情が窺がえる。
お薦め度:★★★ 対象:ワニに噛まれる機会がありそうな人
【森住奈穂 20211021】
●「もしも人食いワニに噛まれたら!」福田雄介著、青春出版社
もしもワニに襲われたら…対処法が書かれているけど、ほんまにそれで助かるんかしら。「知らんけど」って書いておいたらいいのに、とちょっと心配。もしもワニに襲われたら…その人の命は同行者の行動にかかっているらしい。私、戦えるかな。とりあえずバットを持ち歩かなければ。一番びっくりしたことは、英語ではアリゲーター、クロコダイル、ガビアルと3種を呼び分けて、日本語の「ワニ」に相当する言葉を使わないということ。それだけワニが身近な生きものということか。5メートルもある 野生ワニが、日本の川にいなくて本当によかった。
お薦め度:★★★ 対象:日本では味わえない恐怖を味わってみたいひと
[トップページ][本の紹介][会合の記録]