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本の紹介「もしも世界からカラスが消えたら」
「もしも世界からカラスが消えたら」松原始著、エクスナレッジ、2023年12月、ISBN978-4-7678-3237-1、1600円+税
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【里井敬 20240425】
●「もしも世界からカラスが消えたら」松原始著、エクスナレッジ
昆虫を食べ、植物を食べ、死肉を食べるカラス、ゴミを漁ってツバメの雛を襲っているイメージだが、生態系の中での役割は何か。カラスは生態系の構成者ではあるけれど、いなくても生態系ががらがらと崩れることはなさそうだ。しいて言えば、柿やびわ、銀杏の種子散布に貢献している鳥類は他にはいないということ。
もしも、世界からカラスが消えたら。神話の世界から、宗教、マンガ、果てはカラスと名前の一部に入っている鳥や人名まで、代案を考えている。また、自然界でカラスの代わりになる鳥類を、候補を挙げて代役の進化の可能性も考えて探っているが、一長一短がある。
で、カラスだけのいない街。鳩がいかつくなって、生ゴミを漁るのか?ユリカモメやトビが参戦するのか?イソヒヨドリが巨大化して低い声でなきわめくのか? カラス好きの研究者の妄想の本である。
お薦め度:★★ 対象:カラスがいない世界を空想したい人
【 20240***】
●「もしも世界からカラスが消えたら」松原始著、エクスナレッジ
鳥全体について知識豊富な、ご存じカラス博士が、もしもの設定で、楽しくカラスがいない世界を考える。
第1章は、生態系からカラスが消えたら。スカベンジャーの役割の話。第2章は、生物の進化史からカラスが消えたら。おそらく代役が活躍するだろう。ってことで代役探し。第3章の人間社会からカラスが消えたらでは、宗教、文学やエンタメでのカラスの扱いを紹介し。“カラス”というフレーズが消えたらを考える。もはや妄想は止まらない。最後には、カラスの代役オーディションが始まる。スカベンジャーとして、種子散布者として、都市生活者として、頭がいい鳥として。マルチプレーヤーのカラスの代役を立てるのは難しそうって話。
面白いし、勉強になる部分もあるが、この本を読むよりは、ほかのカラス博士の他の本を読むべきと思う。カラス博士の本を読みまくっている方は、この本も読んでください。
お薦め度:★★ 対象:カラス博士ファン
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