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本の紹介「モーツァルトのムクドリ」

「モーツァルトのムクドリ 天才をささえたさえずり」ライアンダ・リン・ハウプト著、青土社、2018年9月、ISBN978-4-7917-7106-6、2000円+税

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【萩野哲 20190209】【公開用】
●「モーツァルトのムクドリ」ライアンダ・リン・ハウプト著、青土社

 モーツァルトはヨーロッパ原産のホシムクドリをペットにしていたことがあった。それは、たまたまペットショップを通りかかった時、彼が作曲したばかりのピアノ協奏曲のフレーズをその鳥が歌っていたのに驚いて入手したからで、その後、この鳥は彼に作曲のインスピレーションを与えたかもしれないとの風説がある。このことは、ホシムクドリの歌う能力の高さを伝えるエピソードのひとつである。一方、この鳥は130年前にイギリスからニューヨークのセントラルパークに持ち込まれた後、何100万羽にも増えて北米中に広がり、悪さをしかけてきたことにより、文句なく北米一嫌われている鳥らしい。本書は、鳥好きのネイチャーライターである著者がこのようなホシムクドリに興味を持ち、飼育した(米国ではホシムクドリには何ら法的保護がない)経験を綴った愛情あふれる物語である。ムクドリの卓越した音声模倣やその他いろいろな能力を、本書を通じて感じてみたい。

 お薦め度:★★★  対象:WAM大好きな人、ムクドリ好きな人も嫌いな人も
【上田梨紗 20190426】
●「モーツァルトのムクドリ」ライアンダ・リン・ハウプト著、青土社

 ピアノ協奏曲第一七番ト長調は作曲されたばかりの秘密の曲だったのにも関わらず、小鳥店の籠に入れられた一羽のムクドリが、その主題の一部を歌っていた。。。そんなことが実際にありえるのかは別として、モーツァルトの人生、著者とムクドリの生活の記録をまじえながら、ムクドリの愛らしさと優秀さを、モノマネ、歌(音楽)好き、言語学などから紹介している。
 北アメリカでは、とことん嫌われている鳥のようで(この部分の話しは読んでいて悲しくなるが、イギリスからアメリカに連れて来られた経緯にシェイクスピアが関係しているそうなので、ムクドリは芸術家にとってのミューズなのかもしれない)著者は当初動揺していたが、観察するために駆除されるムクドリの巣から一羽を誘拐し、家で飼いはじめる。結果、その魅力にはまり家族の一員として現在も生活を共にしている。
 著者は、ムクドリと人類を代表する偉大な作曲家には、類似点があるという。それは、おしゃべりな所と、ことば遊びが好きな所、そしてお酒好きな所(!!!)だそうだ。

 お薦め度:★★★  対象:モーツァルトが好きな人、ムクドリを知らない人
【西本由佳 20190221】
●「モーツァルトのムクドリ」ライアンダ・リン・ハウプト著、青土社

 モーツァルトはホシムクドリを飼っていた。当時のヨーロッパではごくありふれた鳥だ。モーツァルトの研究者にも大して評価されなかったこの鳥について検証するため、著者はホシムクドリを飼いはじめる。モーツァルトの逸話や、そのなかでムクドリが占めたであろう位置の想像と、ムクドリや鳴禽類についてのさまざまな研究が交互に紹介されていく。ムクドリは音声模倣に長け、おしゃべりで陽気、そのふるまいに著者は魅了され、モーツァルトがこの鳥をどれだけ大切にしたか、思いをはせる。ふだん害鳥として扱われがちなムクドリについて、もっとちゃんと観察したくなる一冊。

 お薦め度:★★★  対象:音楽に理解があればもっと楽しめるかも
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