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本の紹介「ムササビ 空飛ぶ座ぶとん」

「ムササビ 空飛ぶ座ぶとん」川道武男著、築地書館、2015年2月、ISBN978-4-8067-1486-6、2300円+税


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【西村寿雄 20150619】【公開用】
●「ムササビ 空飛ぶ座ぶとん」川道武男著、築地書館

 北海道のナキウサギの研究者としても知られている著者が、9年にもわたるムササビ研究の記録である。奈良公園に棲むムササビ百数十頭に個体識別をしてムササビの「交尾・繁殖戦略」を明らかにしている。まずは、ムササビのくわしい解説から始まる。次に、暗闇の中、あの高い樹の上をさっと滑空していくムササビの一匹一匹を識別することから観察は始まる。圧巻は5章以下。「行動圏となわばり制」「交尾をめぐるオスの争い」「交尾栓の秘密」と続く。発情期を迎えた雌の行動や、雌を奪おうとするオス同士の熾烈な行動がくわしく書かれている。思わず読者も目の前のムササビを追っているような錯覚を覚える。細かな記載が続くこともあるが、まるで〈ムササビ劇場〉をながめているがごとく読んで楽しめる。哺乳動物調査の方法についてこれほど具体的に書かれた本はないだろう。著者には妻美枝子氏との共著『けものウォッチング』(京都新聞社1991)など一般普及書もある。

 お薦め度:★★★★  対象:動物好きの中高生、ムササビ観察会などの参加者

【和田岳 20150626】
●「ムササビ 空飛ぶ座ぶとん」川道武男著、築地書館

 かつて大阪市立大学助教授だった著者が、奈良公園でおこなった9年間にわたるムササビ研究をまとめた一冊。  滑空生活、ムササビ観察のコツ、季節のメニューと食事マナー、巣と活動性、行動圏となわばり制。交尾をめぐるオスの争い、交尾栓の秘密、交尾期が年二回ある理由、母と子、子どもの独立。これでもか!と自身のムササビ研究の成果を紹介してくれる。個々のエピソードがふんだんに盛り込まれているのは面白いし、観察の際のコツなどは観察会で役に立つ。でも細かいデータが出てきすぎで、普及書としてはごちゃごちゃしていて不親切。むしろムササビデータブック的な趣。

 お薦め度:★★  対象:これからムササビの観察会に行く人

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