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本の紹介「虫のオスとメス、見分けられますか?」
「虫のオスとメス、見分けられますか?」森上信夫著、ベレ出版、2022年5月、ISBN978-4-86064-690-5、1600円+税
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【冨永則子 20220821】【公開用】
●「虫のオスとメス、見分けられますか?」森上信夫著、ベレ出版
雌雄を見分けることは生き物の多様性を理解する一助になります。ほとんどの哺乳類は外性器の形で判別できますが、昆虫の識別ポイントは様々で、種によって性差のある部位が異なります。部位別の“かたち”、“大きさ”、“色・模様”の違いに注目し、身近な昆虫の雌雄識別を可能にしていきます。本著では、オスとメスの写真を並べ、その識別ポイントが示されているだけではなく、同じ識別方法が適用できる他の種名も併記されています。図鑑的ではありますが、いわゆる種別の掲載ではないので、一度に様々な虫について知ることができます。虫苦手ニンゲンが珍しく隅々まで眺めたせいか、やたら虫が出てくる夢を見てしまった!
お薦め度:★★★ 対象:虫のことが知りたい虫好きにも、そうでないヒトにも
【西村寿雄 20221011】
●「虫のオスとメス、見分けられますか?」森上信夫著、ベレ出版
昆虫のオス、メスの区別は、カブトムシ・クワガタ類なら外見上からすぐにわかるが、他の昆虫類はややこしい。しかし、なんとなくオス、メスの区別は見当がつく種類もいる。そのいくつかをある程度まとめて紹介している。やはり多いのは「かたち」に注目すること、ほかは「色・もよう」の区別もある程度はできる。本では甲虫類は触角の違いがまず出てくる。これはわかりいい。次は微妙な足の形、これはマニアックだ。次は産卵管のある種類でこれはオス、メスすぐわかる。その他、いくつかのオス、メスの区別個所が紹介されている。色で見分けられるチョウなどいるが法則性はない。結局、個々の個体の違いを見て覚えるしかないか。
お薦め度:★★★ 対象:昆虫に興味のある子ども
【萩野哲 20221008】
●「虫のオスとメス、見分けられますか?」森上信夫著、ベレ出版
虫のオスとメスはどこが違うか?多くの虫ではまず触角や前脚に注目。オスの方が大きかったり長かったり、形が複雑だったり。メスを探したり掴まえたりする機能があるのだろう。でも逆にオスでも発達していない種も多いところが興味深い。蝶のオスでは前脚の?節が棒のようになっていたり、欠いていたり(それでも昆虫?)。どんな意味があるのだろうか?尾端に産卵管がある場合はわかりやすいが、それ以外の部分にも相違がある場合が多い。オスだけが目立つのではなく蚤の夫婦も多い。雌雄差は全体としては非常に多様で一般化は困難と思われ、左右不相称の部分もあったりする。灯火トラップで採集直後にゲニタリアを抜く人がいるとは驚いた。事例数が少ないのは紙数が少ないので仕方なかろう。
お薦め度:★★★ 対象:虫を知っていても知らなくても、へえ〜と思いたい人
【和田岳 20221016】
●「虫のオスとメス、見分けられますか?」森上信夫著、ベレ出版
おもに昆虫のオスとメスの見分け方を解説した本。おもだった見分け方ポイントごとに整理して紹介されていく。
形に注目した場合、触覚、前脚、産卵管、尾端はけっこういろんな種でポイントになる。また角・顎・ハサミの大きさ、翅の有無、首の長さ。ハサミムシのハサミは雄だけ、ニホンホホビロコメツキモドキの顔は雌だけ、左右非対称なんだそうな。トンボ(副性器)、セミ(産卵管と腹弁)、ハエ・アブ(左右の複眼が引っ付いてたらオス)は特出しで説明。その他、大きさ、色・もようでの見分け方も説明され、チョウの貞操帯や性標、ホタルの発光器、ハンミョウの顔色と、盛りだくさん。
とにかく昆虫の雌雄についてのいろんな知識が仕入れられる。でも、だからといって雌雄が見分けられるようになるかというと微妙ではある。
お薦め度:★★ 対象:昆虫を改めて見直してみようと思う人
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