友の会読書サークルBooks

本の紹介「内臓とこころ」

「内臓とこころ」三木成夫著、河出文庫、2013年3月、ISBN978-4-309-41205-4、780円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。

[トップページ][本の紹介][会合の記録]


【森住奈穂 20141024】【公開用】
●「内臓とこころ」三木成夫著、河出文庫

 本書は初版出版から30年以上を経て文庫化された。著者は解剖学者である。海から生まれた私たちには潮間リズムがあり、4億年の進化の記憶が波動となって内臓に刻み込まれているという。壮大すぎて目が回りそうな話だが、おしっこ、胃袋、季節の情感など、日常だれもが覚える感覚に即して語られており、なんだかストンと腑に落ちるのだ。こころ=内臓のリズムは宇宙のリズムを宿しており、すべての生きものは共鳴・共振する。Don't think Feel!

 お薦め度:★★★  対象:内臓は宇宙を内蔵しているんだぞう。感覚を大事にするひと

【六車恭子 20141219】
●「内臓とこころ」三木成夫著、河出文庫

 本書は脳の比較解剖学、比較発生学の先生が30年以上前に講演された講義録だという。地球誕生から46億年の歴史を日々の生活の中からひもとく希有な書である。
 赤ん坊が「膀胱感覚」で内臓不快の感覚をしり、「口腔感覚」で母の乳房を嘗め回してこの感覚を鍛え、「胃袋感覚」が宇宙のリズムをキャッチする総仕上げをする。心の奥深くに内蔵されたもの(こころ)が宇宙と共鳴しているのだと言う。母の羊水の中で受胎32日から38日までのわずか一週間で起こる変化は生命の一億年に及ぶ上陸劇を再現している!という。私たちが地球そのものである、ことをあの遠い日の赤ん坊は知っているのだ。意識に上がらない無明の世界が密やかに語りかけてくる、そんな強力な種子をはらんだ書であろうか。

 お薦め度:★★★★  対象:ひとの子として生まれたあなた、子の父母であるあなた

[トップページ][本の紹介][会合の記録]