友の会読書サークルBooks
本の紹介「図解 内臓の進化」
「図解 内臓の進化 形と機能に刻まれた激動の歴史」岩堀修明著、講談社ブルーバックス、2014年2月、ISBN978-4-06-257853-0、980円+税
【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]
【和田岳 20140821】【公開用】
●「図解 内臓の進化」岩堀修明著、講談社ブルーバックス
呼吸器系、消化器系、泌尿器系、生殖器系、内分泌系と内臓を5つに分けて、脊椎動物を中心にどのような構造になっているかを紹介していく。最後には昆虫の内臓の章のおまけもある。
脊椎動物のグループごとの内臓を並べて比較してくれるので、進化について考える参考になる。呼吸器系なら鰓や肺のみならず、咽頭交叉。消化器系なら胃や腸のみならず、食道や舌。泌尿器系では腎臓のみならず、体液調整法。あまり他では見ない部分も取り上げてくれている。鳥の呼吸システムの説明も分かりやすい(ってゆうか、ようやく理解できた!)。
アリクイ、コウモリ、クジラは、呼吸と嚥下を同時に行える。的な小ネタがいっぱい仕込めるので、ホネホネ団的には、必須の一冊。
お薦め度:★★★ 対象:動物の解剖をしたことある人、してみたい人。脊椎動物の進化に興味のある人。
【萩野哲 20140818】
●「図解 内臓の進化」岩堀修明著、講談社ブルーバックス
内臓が呼吸、栄養吸収、老廃物排泄、生殖などに関わっていることは周知であり、多くの教科書も存在する。しかし、通常は1種の動物の記載に限定されており、機能についての説明はあるが、なぜそのような構造になったかについては説明が少なかったように思う。この本の特徴は多種の動物の内臓を併記し、構造についての説明を詳しくしていることにある。よくぞこの小さな本に詰め込んだものだと感心する。複雑な内臓系を様々な動物で比較することにより、進化の妙を垣間見ることができる。
お薦め度:★★★ 対象:進化に興味がある人
【村山涼二 20140626】
●「図解 内臓の進化」岩堀修明著、講談社ブルーバックス
呼吸器系については、水中から陸上への進化、鰓呼吸の高性能、哺乳類の肺、肺と気嚢を持った鳥類の素晴らしい効率を図解で示している。消化器系では、鳥は体重を落とすため、歯を失い砂嚢がある。動物は肉食から草食に変わり、ウサギは微生物の助けを受け食糞し、牛や羊は反芻で消化吸収を高め、栄養分を蓄積するようになった過程がわかる。泌尿器系ではヒトは腎臓で窒素代謝物を尿として多量の水とともに排泄するが、鳥や昆虫は軽くするために水分を必要としない尿酸で排泄している。生殖器系は効率よく精子と卵の出会いを編み出している。内分泌系はホルモンの重要性を示している。昆虫類の内臓と働きも示されている。内臓の進化の過程が詳しい図解で示されている。
お薦め度:★★★★ 対象:生き物の進化を知りたい人
[トップページ][本の紹介][会合の記録]