友の会読書サークルBooks
本の紹介「ナナフシ」
「ナナフシ」稲田務著、福音館書店かがくのとも2021年9月号、400円+税
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【西本由佳 20211017】【公開用有】
●「ナナフシ」稲田務著、福音館書店かがくのとも2021年9月号
ナナフシの生活について描かれた絵本。葉っぱを食べて暮らし、動かずに葉っぱに紛れたり、急に落ちることで敵から逃げたりして、ひっそりくらすナナフシ。脚が取れても脱皮で元に戻ると聞いて少し安心。卵を遠くへ投げるのは、ナナフシなりに分散なのかと思っていたら、ヒヨドリに食べられた卵がフンとして出されてかえることもあるそうだ。あまり距離を移動できそうにないナナフシが、そうやって遠くへ分布を広げることもあるのだろうか。葉っぱをよく見てナナフシを探してみたくなった。
お薦め度:★★★ 対象:虫をじっくり見たことのない人に
【冨永則子 20211123】
●「ナナフシ」稲田務著、福音館書店かがくのとも2021年9月号
細い体に細い脚、ピンと伸ばした姿は木の枝そのもの。捕食者が現れても枝と見間違えてしまう。もし見つかったら自分から地面に落ちる。それは枝が折れたように見せかけているの? それにしても、どうして自分が枝みたいな形態をしていると知っているのかな? 脱皮を繰り返し成虫になったメスは地面にばら撒くように産卵する。まるで植物の種のように硬い殻に覆われた小さな卵は土や葉っぱに紛れて冬を越し、春になると卵の蓋を開けて、中からユラユラと揺れながら細長いナナフシの幼虫が出てくる。狭い卵の中に、あんなに細長い体がいったいどう収まっていたんだろう?
お薦め度:★★★ 対象:かくれんぼする虫を見つけてみたい人に
【西村寿雄 20211211】
●「ナナフシ」稲田務著、福音館書店かがくのとも2021年9月号
たくさんの昆虫の中でも縦に長い胴体を保有するナナフシ、こんな特異な形態を持つナナフシはいったいどんな生活をしているのだろうか。夜、主に活動するようすが簡単に触れられている。一つは擬態が功を奏している。まず、葉っぱの上でじっとしているナナフシが出てくる。縦に長い体は付近の木の枝に混じり見えにくい。外敵に襲われると足が取れたりして地におちるとのこと、自切でうまく体をかわす。ナナフシは卵が固く鳥に食べられても命をつなぐという。ナナフシ体内に残された卵が鳥の糞に混じって拡散されるとか。ナナフシの生活が簡単に描かれている。
お薦め度:★★★ 対象:昆虫に興味のある子ども
【和田岳 20211028】
●「ナナフシ」稲田務著、福音館書店かがくのとも2021年9月号
葉と枝の中のナナフシ(ナナフシモドキ)がいるのがわかるかな?と定番の前振りから始まって、かるくナナフシの説明。対捕食者の行動、脱皮、そして産卵。産卵中のナナフシが、ヒヨドリに食べられる。そのヒヨドリの糞にはナナフシの卵。その卵から幼虫が孵る。
飛翔能力の無いナナフシが鳥によって散布されるという可能性が示されたのは、2018年の論文。それが紹介されている。面白いけど、一発ネタだけで終わってちょっと物足りない。
お薦め度:★★★ 対象:鳥が果実食べて、タネを運ぶことを知ってる人
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