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本の紹介「なぜヤギは、車好きなのか?」

「なぜヤギは、車好きなのか? 鳥取環境大学のヤギの動物行動学」小林朋道著、朝日新聞出版、2012年5月、ISBN978-4-02-250972-7、1500円+税


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【釋知恵子 20121025】【公開用】
●「なぜヤギは、車好きなのか?」小林朋道著、朝日新聞出版

 鳥取環境大学には、先生と学生が一緒にヤギを飼うヤギ部というサークルがある。愛情深くヤギを飼う先生と学生たち。ある日、ヤギが車に寄っていく姿を見て、あれどうして?と疑問に思い、予想をし、実験を行い、答えを出していく。観察することがヤギの行動の不思議に気づき、個性も知ることにもつながるということが、親しみやすい語り口で語られていて、動物行動学って、こんなことするのかという入門書にいいのでは? 表紙は、ピースしているようなかわいいヤギの写真。大学のポスターにもヤギは登場したらしいが、かわいいヤギを飼えて、先生もおもしろそうだし、動物のことも勉強できる、こんな大学に入りたいという高校生獲得に、この本も貢献しそう。

 お薦め度:★★★  対象:高校生・動物を飼っている人

【岩坪幸子 20120922】
●「なぜヤギは、車好きなのか?」小林朋道著、朝日新聞出版

 「鳥取環境大学のヤギの動物行動学」という副題のついたこの本は、大学のヤギ部というサークルで飼われていたヤギたちの生活と行動に視点を当てて観察した記録である。その行動からヤギの考えや思いを読み取ろうとしている。そのために自由に動けるよう一定の広さの区画に放牧したり、数々の面白い実験もしている。飼っているという関係の中で生じるヤギと著者お互いの心情、それは著者がヤギの行動から想像するものではあるが、とてもよく分かるし、ヤギという動物の特徴や個性など興味深い。著者独特の文章表現、独り言風の( )書きで身近に親しみを感じ、読みやすくて一気に読ませる楽しい本である。

 お薦め度:★★★★  対象:ペットを飼っている人・普通に動物が好きな人

【萩野哲 20121012】
●「なぜヤギは、車好きなのか?」小林朋道著、朝日新聞出版

 著者は新設された大学に赴任し、その風景にヤギがいることを想像する。幸い賛同する学生たちと“ヤギ部”を創設し、ヤギとの生活が実現した。最大5頭となったヤギを観察して、ヤギ特有の行動とともに、ヤギといえども様々な個性を発揮することを発見した、11年間の記録である。鏡に写る自分の姿を自分と認識できる動物種は少ないといわれるが、ヤギはどうなのだろうか?他の動物と初めて会った時の反応は?何よりも、本書はヤギという動物を通じて人と動物との付き合い方を考えさせてくれる。園児たちが訪問してきた際、“「相手(ヤギ)は、自分たちの自由になるぬいぐるみではなく、はっきりとした意思をもった存在である」ことに気づいたのではないだろうか。”の個所は強く心に残った。ヤギが色を識別できるとの情報も初めて知った。

 お薦め度:★★★  対象:動物と人との付き合い方に興味がある人

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