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本の紹介「熱帯植物 天国と地獄」
「熱帯植物 天国と地獄」清水秀男著、SCCガーデナーズ・コレクション、2002年12月、ISBN4-88647-157-9、2400円+税
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【瀧端真理子 20060408】【公開用】
●「熱帯植物 天国と地獄」清水秀男著、SCCガーデナーズ・コレクション
「いつでも花が楽しめるように植物を選び、展示するのがわれわれの仕事です」このさりげない一言を実現させるために、どれだけの情熱と努力が費やされていることか。
今後一生、趣味のサボテンは仕事にすまいと心に誓い、サボテンのない熱川バナナワニ園への就職を決めた清水氏。「給料はお前のつくる植物を見て決めてやる」との先代園長の一言。自分が一番没入している植物の記事を書くときの忘我の境地。
自分の手がけたことのない植物の執筆依頼はすべて断るという清水氏が、これまでに公表してきたライブ感の強い文章に、熱帯植物の見事なカラー写真と、玉城聡氏の手によるイラストが加わる。失敗談をも含む栽培記録や自生地訪問記、エジンバラ植物園植物目録の紹介や、巻末の世界各地の熱帯植物関連同好会ガイドなど、さまざまな連想と行動へと読者を誘うこと間違いなし。
お薦め度:★★★★ 対象:植物愛好家なら誰でも
【釋知恵子 20060619】
●「熱帯植物 天国と地獄」清水秀男著、SCCガーデナーズ・コレクション
数多く販売されている園芸書の中で、熱帯植物を取り上げ、私はこんな風に育てたというリアルな個人の経験を書いた本は珍しいのではないだろうか。著者は熱川バナナワニ園に勤めている。そして日々、植物を愛で、栽培している。出てくる植物は物珍しいものばかりで、この本を見ながら自分で育てることはあまりないだろうが、著者が失敗しながら取り組む様子は読み物としておもしろく、微笑ましい。3年目に開花したとか、数年の取り組みもさらりといってのけ、植物にとっては当たり前の時間の流れだということを思い起こさせてくれる。
いろんなところに書いてきた文章を寄せ集めた本なので、本としての盛り上がりには欠けるが、全体からにじみでる「熱さ」はすごい。失敗も楽しく感じるこの本の中には熱帯植物の天国はあっても地獄はないように思った。
お薦め度:★★★ 対象:植物を育てるのが好きな人に
【萩野哲 20060623】
●「熱帯植物 天国と地獄」清水秀男著、SCCガーデナーズ・コレクション
この本の内容は、全て著者の経験に基づいていて臨場感があり、その書かれた年代にかかわらず新鮮である。導入時の苦労話や自生地の探索等、各々の植物に打ち込む著者の情熱とこだわりが伝わってきて読みごたえがあり爽やかである。珍しい植物や著名な植物園の紹介も楽しい。一方、植物の名前に関してはある程度の知識を必要とするものが多く、内容の高度さについていけない記述もあるのがやや気になった。
お薦め度:★★★ 対象:ひとつのことに打ち込む情熱を共有したい人&熱帯植物=中上級者
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