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本の紹介「ねずみに支配された島」

「ねずみに支配された島」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、文藝春秋、2014年6月、ISBN978-4-16-390081-0、1800円+税


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【萩野哲 20140818】【公開用】
●「ねずみに支配された島」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、文藝春秋

 人類の地球上全ての地域への移行の伴い、野生生物がかつてないスピードで絶滅しつつある。しかしそれは、人間が直接手を下しているばかりではなく、人間が移動の際に意識的または無意識に連れて行った生物による間接的なもので、その中の最悪の生物をネズミであると著者は位置づけている。ネズミの被害の例は読んでいて恐ろしくなってくる。しかし、ネズミが野に放たれたら最後かと思いきや、抗血液凝固剤の利用により、実際にネズミを根絶させた事例が多数あるらしい。本書は、ニュージーランドをはじめ、世界各地で野生生物を安全な無人(ネズミ)島に移したり、ネズミを撲滅させる薬剤を散布した人々の活躍や、それに反対あるいは理解しない人たちとの相克が記されていて考えさせられる。

 お薦め度:★★★  対象:野生生物や外来種の現状に興味がある人

【森住奈穂 20141024】
●「ねずみに支配された島」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、文藝春秋

 「島」は陸生の種の20パーセントを育んできたとともに、現在進行中の絶滅の舞台でもある。本土から人間によって島に持ち込まれた捕食者たち(ネズミ、ネコ、イタチ、ヤギ、ブタなど)は無防備な先住者を襲い、彼らを危機的状況に追い込んでいる。本書には貴重な野生生物保護のため、そうした侵入者たちの徹底的な排除(皆殺し!)が描かれている。当然だが、読んでいて快い物語ではない。しかし、良い悪いを議論しているその間にも、この世界から消えていく種があることを私たちは知らねばならない。無関心でいることの罪を感じた。

 お薦め度:★★★  対象:困難な状況にも目を瞑りたくないひと

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