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本の紹介「日本の動物はいつどこからきたのか」
「日本の動物はいつどこからきたのか 動物地理学の挑戦」京都大学総合博物館編、岩波科学ライブラリー、2005年8月、ISBN4-00-007449-0、1200円+税
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【和田岳 20051215】【公開用】
●「日本の動物はいつどこからきたのか」京都大学総合博物館編、岩波科学ライブラリー
現在の日本の動物相がどのように成立してきたか? 京都大学の研究者13名が、このテーマに絡めて自分の研究結果を紹介。両生爬虫類、哺乳類、魚類、昆虫、二枚貝と、話題は幅広い。個々の研究の多くはとても興味深い内容。
ただ残念なことに、一つの話題が5〜10ページと短い。とうぜんながら、自分の研究の簡単な紹介に終わっていて物足りない。そして何より物足りないのは、総合討論がないこと。各分類群についての話をただ並べるのではなく、全体として日本の動物相の成立についての考察をしたらよかったのに…。
お薦め度:★★ 対象:日本の動物に興味のある人
【中条武司 20051115】
●「日本の動物はいつどこからきたのか」京都大学総合博物館編、岩波科学ライブラリー
動物の分布や分類、DNA解析を用いた様々な研究から、日本の動物がなぜここにいるのかをトピック的に紹介している。短いトピックを散りばめ飽きずに読ませる反面、「ええっ、これで終わりなの」ともう少し掘り下げを期待する内容もあったり様々。
この本は京大博物館での特別展の解説書らしいが、個人的には本の内容よりもこの内容でどんな展示を作っていたのかは興味のあるところ。大学の博物館だからいいのかもしれないけど、京都や近畿にあまり縁のない島嶼の生き物をたくさん扱ってそう。
お薦め度:★★ 対象:中学生以上、生物に興味のある人
【六車恭子 20051215】
●「日本の動物はいつどこからきたのか」京都大学総合博物館編、岩波科学ライブラリー
旧北区と東洋区を含む南北に長い日本列島の動物相の多様性はどのように生まれたのか?それはいつどこから来たのかの謎解きでもありそうです。ブラキストン線や渡瀬線、ヶラマギャップ、与那国海峡など動物相の分布に壁になる構造線も動物の来歴を類推する決め手になるようだ。
島嶼という特殊性により地理的隔離による分化が進み多様性が拍車がかかったのでしょうか。地史から見たハブの形態の変容、ハナサキガエル種の分化の様子、伊豆半島周辺のトカゲの不可思議な分布図など、生き物だけでは見えないものが見えて来るから不思議です。期間限定の特別展の普及版解説書として甦った本だ。
お薦め度:★★ 対象:特別展に足を運んだ人
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