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本の紹介「日本の動物絵画史」
「日本の動物絵画史」金子信久著、NHK出版新書、2024年1月、ISBN978-4-14-088713-4、1350円+税
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【森住奈穂 20240426】【公開用】
●「日本の動物絵画史」金子信久著、NHK出版新書
古代から近代までの動物絵画の歴史を記した一冊。80点超の図版は全てカラーで、パラパラ眺めるだけでも楽しい。『孔雀明王像』のどっしり感、伊年印『虎図』のほっこり感。尾形光琳、長沢蘆雪の虎図も捨てがたい。仙崖義梵『犬図』には、こちらも「きゃふんきゃふん」とうなだれてしまう何とも言いようのない気持ちが呼び起こされる。信仰心から、縁起物として、など、画題として選ばれた理由は数あるのだろうけれど、現代の私たちの目を存分に楽しませてくれる数々の作品が、残ってきてくれたことにただただ感謝。
お薦め度:★★★ 対象:動物好き
【萩野哲 20240418】
●「日本の動物絵画史」金子信久著、NHK出版新書
動物絵画は様々な目的で描かれてきた。信仰、吉祥、芸術、風刺、写実、記録、愛おしみ、などなど。ちょうど今、博物館で自然史のイラスト集の特別展が開催されている。その関係で本書を読んだ。あえて下手に描いた絵があるかどうかはともかく、著者は「心」と「造形」という2つの視点を持って本書を世に出した。自然史のイラストでも他の目的で描かれた絵と同様、描いた人は何を伝えたいか、見る人は何を感じるかが重要だろう。本書には、なるほど、凄い動物画が選ばれている。個人的には、「鳥獣戯画」、牧谿「猿図」、応挙「竜門図」、国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」、長谷川?二郎「猫」などに感銘を受けたが、人によってどれを好むかは様々であろう。
お薦め度:★★★ 対象:絵画の力を信じる人
【和田岳 20240425】
●「日本の動物絵画史」金子信久著、NHK出版新書
鎌倉時代までは、鳥獣戯画などを除けば、宗教的な絵が主流だったが、江戸時代に入って、さまざまな楽しむ絵画が花開く。“可愛い”絵の歴史を大きなテーマに、日本の動物絵画の歴史が紹介される。
江戸時代に入ると、狩野派、応挙、宗達、蘆雪、若冲とメジャーどころがいっぱい出てくる。リアルな図鑑的な絵のルーツもこの時代。中でも一推しは、円山応挙。虎の絵メッチャうまいな、でも目だけがイエネコかよ、って思ったら、毛皮をデッサンしてから描いたんだそう。生きたのを見たことがないので、目がイエネコなのはやむを得ない。応挙は可愛い子犬を描かせても上手い。その弟子の長沢蘆雪も上手だけど、個人的には応挙推し。宗紫石や司馬江漢の鳥の絵も許せる範囲。与謝蕪村のタンチョウの絵も気に入った。一方、狩野派、琳派、宗達は全体的にダメ。森狙仙はニホンザルだけ上手いし、伊藤若冲のニワトリはリアル。どちらも実物をいっぱい観察してたんだそう。やはりちゃんと観察して描いたのは判る。などと有名人の絵に偉そうなコメントが付けられて楽しい。
お薦め度:★★★ 対象:哺乳類と鳥の絵の歴史に興味があれば、あるいは江戸時代の有名人の絵にダメ出ししたければ
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