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本の紹介「日本の森を歩く」

「日本の森を歩く」池内 紀文・柳木昭信写真、山と渓谷社


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【寺島久雄 20020713】
●「日本の森を歩く」池内 紀文・柳木昭信写真、山と渓谷社

 北海道から沖縄迄15ケ所の原生林を歩いた記録である。
 海上に浮く山岳日本列島は温暖な気候とゆたかな水、そして雪によってゆたかな森が出来た。その森が雪をふところに留めて、川を造り、川が山里に、海に豊穣な栄養を送り込んで日本列島の自然が出来た。
 地域開発の名のもとに、ブナを伐ると、とたんにカジカが姿を消した。ブナの落葉につく虫がカジカのエサだ。里山の小動物は奥に逃れてもテンやクマに食われる。木を伐るとまず小動物からいなくなる。ブナがつくる広大な森と水豊かな渓谷で動植物が豊かな生態を見せてくれる。写真はその自然のフトコロの深さと雄大さを見せてくれる。その土地々々の特有の気候がその土地特有の植生を生み出している。豪雪地帯の山容に「雪融断崖」が形成されるそうだ。関西で芦生が出ている。京大の演習林が入っている。2000ヘクタールが原生林として残っている。ブナ、ミズナラ、トチノキ、ミズキ、サワグルミ、カツラが多い。若狭の人は芦生の森を”魚つき林”と言うそうだ。大塔山は南方熊楠が「千古斧を入れない熊野の大森林」と言って粘菌の研究で生涯ここに住みついた処である。またブナ林の南限でカシと混成林がある。


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