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本の紹介「日本らしい自然と多様性」

「日本らしい自然と多様性 身近な環境から考える」根本正之著、岩波ジュニア新書、2010年5月、ISBN978-4-00-500654-0、780円+税


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【西村寿雄 20100902】【公開用】
●「日本らしい自然と多様性」根本正之著、岩波ジュニア新書

 日本の美しいふる里の原風景は、人間と自然との共生で作り上げられてきた〈半自然の生態系〉である。しかし、近年土地改良や化学肥料の開発によって作り上げてきた環境に、外来植物が順応してきて、また新たな生態系を作りつつある。そのような中でどうすれば、日本の在来植物の多様性をとりもどすことができるのか、著者は、まず、植物の生態をじっくりと学ぶことを提言する。今はやりの帰化植物ぬきとり作戦ははたして効果があるのか。むしろ帰化植物が生えないような環境作りこそ重要と説く。
 これから、半自然を再生し生物多様性をとりもどすには、まず、若い人たちが植物に親しめる環境を作ること、そして、今も河川堤防やゴルフ場、都市空間などに残る〈原風景〉を広げ、その環境を維持していくことを説いている。

 お薦め度:★★★  対象:

【西村寿雄 20100625】
●「日本らしい自然と多様性」根本正之著、岩波ジュニア新書

 近年、かつての谷津田はどんどん放置され、山林の荒れも目立つようになった。また、街ではヒメオドリコソウやナガミヒナゲシなど、今まで見かけなった草花が急に目につくようになった。いったい、日本の生態系はどうなっているのか、外来植物にどのように対処すればいいのか、明確な視点が持てないでいることが多かったのではないだろうか。
 著者は、植物生態学の専門家で、本書は身近な雑草を中心に、〈日本らしい自然〉をどのように維持していくか、植物の習性をもとに今後のあり方について提言している。

 お薦め度:  対象:

【和田岳 20100903】
●「日本らしい自然と多様性」根本正之著、岩波ジュニア新書

 草地環境を中心に、その多様性減少の現状を紹介し、その原因を人間活動の変化から読み解く。草本の暮らしについても様々に解説。日本の自然を植物を中心に語る時、森林ばかりが語られる事が多い。その中で、草本が中心となっているのは、とても新鮮。
 野焼きや焼き畑の現状、土壌が草本相に与える影響など、興味深い話題も多い。のだけど、結局は里山の話と同様、適度に人が管理した”半自然”が一番多様度が高い。それをどうやって守っていこうか。という話に落ち着いていて、その点での新鮮みは少ない。

 お薦め度:★★  対象:木よりも草が好き!という人

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