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本の紹介「日本列島の下では何が起きているのか」
「日本列島の下では何が起きているのか 列島誕生から地震・火山噴火のメカニズムまで」中島淳一著、講談社ブルーバックス、2018年10月、ISBN978-4-06-513521-1、1100円+税
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【西村寿雄 20190422】【公開用】
●「日本列島の下では何が起きているのか」中島淳一著、講談社ブルーバックス
数多く出ている地震関連の本では、よくまとめられている。プレートテクトニクスや地震波の話、プレート境界や内陸地殻での地震の話など多様に取り扱われている。特に、火山活動のもとになるマグマ発生のプロセスに水が深くかかわっていることをわかりやすく説いている。岩石には水が意外と多く含まれていて地殻変動の引き金となっているようすが読み取れる。地震予知についてもくわしくふれている。今はまだデータを収集して蓄積する段階にあるとか。最後に書かれている「関東地方の地下で何が起こっているか」も興味深い。
お薦め度:★★★ 対象:地球内部の動きや地震活動に関心のある人
【中条武司 20190616】
●「日本列島の下では何が起きているのか」中島淳一著、講談社ブルーバックス
地震と火山噴火をもたらすプレート境界域にある日本。その地下で地震はどのようにして起こるのか、マグマがどのようにしてできるのかを、主に水との関係に着目して紹介しています。プレートの沈み込みによって地殻やマントルにもたらされた水が、岩石の割れ目やその内部を移動することによって地震の発生や火山噴火が起こることがわかります。内容が教科書的で難しすぎるのではという気がしますが、地震や火山の「なぜ起こるのか」という疑問の多くには答えてくれます。
お薦め度:★★★ 対象:地震や火山の「なぜ起こるのか」という疑問がある人
【西本由佳 20190421】
●「日本列島の下では何が起きているのか」中島淳一著、講談社ブルーバックス
地面の下のことを知るのは難しい。穴を掘るという手段はあるが、それでわかることは空間的にも深度的にも限られている。それでも地下について、地殻やマントルの厚み、それをつくる物質、地震の震源の位置など、わかっていることはある。これらは地震波の観測をもとにして推定されている。本書では、地震波やGNSS(GPSの今の言い方)を使って現在明らかにされている日本列島の地下の動きについて紹介している。プレートの動きによって地下でどのような種類の地震が起きるか、火山に何が供給されているか、など、地震波の観測と仮説の検証から、見えない地下のことがこれだけわかっているのはすごいことだと思う。
お薦め度:★★★ 対象:地震について理解したい人
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