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本の紹介「おちばのしたをのぞいてみたら…」

「おちばのしたをのぞいてみたら…」皆越ようせい著、ポプラ社、ISBN4-591-06501-4 、1200円+税


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【光田知恵子 20030203】【公開用】
●「おちばのしたをのぞいてみたら…」皆越ようせい著、ポプラ社

 季節が巡っては、降り積もる落ち葉。その中でこんなにも個性豊かな面々が暮らしていたんだと気付かされる写真絵本です。生き物たちは、落ち葉を食べ、それを栄養たっぷりのふかふかの土へと変えてくれます。土壌動物にこだわったカメラマンの、それら生き物に対する愛情が感じられる一冊。個人的には、ミミズの卵がレモンのようにかわいらしく、嬉しくなりました。
 
 お薦め度:★★★★  対象:幼児から大人まで

【西村寿雄 20021105】
●「おちばのしたをのぞいてみたら…」皆越ようせい著、ポプラ社

 雑木林の中の落ち葉の下、ほとんど生き物など見えない(見ていない)世界に焦点を当てた写真絵本である。この本のように、落ち葉の下を取り上げた類書はないではないが、この本ほどシャープに落葉下の微小生物を紹介した本はないのではないか。写真の持つ迫力である。
〈あとがき〉に
「落ち葉の下は、暗くて、もの静かなところと思われがちですが、実は、小さな生命が息づいているにぎやかな世界なのです。 … 」
と書かれている。その〈にぎやか〉を演出している主たちが、次々と大画面で出てくる。
 ワラジムシ、ヤスデ類、オオゲジもほんとに美しい。シーボルトミミズなんてお目にかかったことがない。こんなに青い艶のあるミミズはどこにもいるのだろうか。そのほか、トビムシ類に、ダニ類、小さな小さな貝の仲間もいる。一人前に二本のハサミを振り上げているミツマタカギカニムシという、サソリのミニチュア虫までいる。
 次に、シマミミズの出生中の写真、ミミズが落ち葉を運ぶ写真、ミミズがウンチしている写真も感動的だ。うんちについては、その他ヒメフナムシのうんち、ヤスデのうんちが紹介されている。
 以下、写真と共に
 「はっぱは やがて おちばに なって」
 「むしたちの うえに ふりつもる」
 「おちばの したで つづいていくいのち」
 「おちばの したを のぞいて ごらん。」
と頁は続いている。最後に、虫たちの実寸法がわかるように一覧表が準備されている。
 
 お薦め度:  対象:

【和田岳 20020221】
●「おちばのしたをのぞいてみたら…」皆越ようせい著、ポプラ社

 落ち葉の下の小さな動物の写真が並んだ絵本。シーボルトミミズという馬鹿でっかいミミズは登場するものの、ほかはマルムシよりも小さな土壌動物が登場する。
 なんと言っても注目は、絵本の世界では初登場ではないかと思わせるトビムシやカニムシがちゃんと出ていること。いずれも2-3mmの小さな動物たちで、野外観察会でもじっくり観察する機会は少ない。それを拡大して見せられると、こんな所にこんなに、綺麗でかわいく格好いい動物たちがいたのかと驚かされる。まさに一度落ち葉の下をのぞいてみなくては、と思わせる一冊。
 
 お薦め度:★★★★  対象:今まで見たことのない生きものに出会ってみたい人

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