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本の紹介「驚きのアマゾン」
「驚きのアマゾン 連鎖する生命の神秘」高野潤著、平凡社新書、2013年12月、ISBN978-4-582-85712-2、800円+税
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【萩野哲 20140422】【公開用】
●「驚きのアマゾン」高野潤著、平凡社新書
著者はアンデス、アマゾンに魅せられ、40年前から毎年これらの地域を訪問している。そして、そこで得られた体験をまとめた多くの本を出版している。今回の本は、アマゾン訪問初期から体験した、水辺、森、空気から感じた不思議な出来事をまとめたものである。弓矢やレメダル(声帯模写)の特技を持った現地人、水位の変化による苦労、巨大なヘビとの遭遇、妖怪「クルピラ」を想わせる怪音、マラリアの特効薬、ジャガーやペッカリーの恐怖・・・。アマゾンに行ってみたい人も、行ってみたいとは思わないが知りたい人など、一読の価値がある。ただ一点、今回写真がモノクロなのが大変残念。
お薦め度:★★★ 対象:アマゾンに興味を持つ人
【北風伸也 20140421】
●「驚きのアマゾン」高野潤著、平凡社新書
アマゾンに30年行き続けた著者のアマゾン好きがよく伝わってくる本でした。アマゾン特有の動物の紹介や、密林の中の生態などがよくわかります。…が。
好きなのは伝わるんですが、全体を通じて淡々と語られ、「私の愛したアマゾンを、諸君らも愛してくれることを望んでやまない!」と言った熱さのようなものがほとんど伝わってこず、これは結局どういう人を対象に書いたものなのか、最後まで疑問でした。
また、とにかくカタカナ語の多さに辟易しました…。「ニャメ」だの「ペケペケ」だの「ドルミロン」だの当たり前のように言われても、わけがわかりません。
それに、著者の性格なのか、アマゾン好きのプライドなのか、わかりませんが、「リスザル」なども、「リスザル」と書けばいいものを、わざわざ現地の名前で書いているため、余計に混乱します。せめて下段に註釈を設けて欲しかったですね。
それに、見開きの写真がやたらと多いですが、(新書だから仕方ないとはいえ)白黒の写真を見せられてもあまり現地の臨場感が伝わってきません。不親切な本と言えます。
お薦め度:★★ 対象:秘境にロマンを感じる人、カタカナ語で人を煙に巻きたい人
【和田岳 20140425】
●「驚きのアマゾン」高野潤著、平凡社新書
30年来、アマゾンに毎年出かけて1〜2ヶ月を過ごしてきた写真家の著者。その体験をつづった一連の本の1冊。生物多様性がテーマのような副題だが、実体は、どんな怖い目に会ったかを集めた感じ。
同行してくれた現地の人の狩猟や釣り、あるいは呼び寄せ(レメダル)の技を紹介し。急な増水が恐怖のカヌーでの旅の様子、ワニや巨大なヘビ、危険な魚、怪音と怖い伝説。森の中でのキャンプでは、危険な毒蛇、アリ、ハチ、危険な倒木や落枝、怪しい音と怖い伝説。穴だらけの地面、そこから出てくる毒ヘビ、ペッカリー、コルバの謎。臭いで分かる危険や異変の徴候の話。生き物達との距離の話などなど。とりたててまとまりなく、エピソードが並ぶ。
30年の間に、アマゾンと言えども、どんどん開発が進み、人々は”文明化”されているという。それでいて、いまだにアマゾンの森の奥には呪術的な世界が息づいている様子がうかがえる。アマゾンという異世界の雰囲気を伝える1冊ではある。
お薦め度:★★ 対象:アマゾンや探検という語にワクワクする人
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