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本の紹介「おじいちゃんは水のにおいがした」
「おじいちゃんは水のにおいがした」今森光彦著、偕成社、2006年4月、ISBN4-03-016400-5、1800円+税
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【加納康嗣 20061113】【公開用】
●「おじいちゃんは水のにおいがした」今森光彦著、偕成社
滋賀県高島の針江にいってきた日、頼んでいた本書が届いていた。Mさんが推薦した本というので内容を確認せずに機械的に注文しておいたものだ。驚くべき偶然、まさに生水(しょうず)の郷の80歳の老漁師を取材した子ども向け写真絵本だった。体にしみ込むような湧き水の匂うような香りがそのまま紙面からあふれていた。バイカモやセキショウモの鮮やかな緑が揺れる水路、鯉やニゴイ、タナゴが泳ぐ「かばた」(コンコンと丸い井戸から清水が湧き出ている半屋内性の炊事場)。水は屋内の井戸と水路と川を巡る。水のきらめき、そよぎ、その匂いは心の奥深いところにしまいこんでいた郷愁を呼び覚ます。湖水と生きる老漁師の顔に風土の深さが漂っていた。たまらない1冊である。
お薦め度:★★★★ 対象:日本人なら誰でも。
【高田みちよ 20061027】【公開用】
●「おじいちゃんは水のにおいがした」今森光彦著、偕成社
とにかく写真が綺麗。琵琶湖にこんな綺麗な場所があったのか!というぐらい綺麗。しかしただの風景写真集と違うのはおじいちゃんの生活に密着しているところだ。風景に溶け込んだ昔ながらの船の漁だけでなく、自転車に乗ったり台所で野菜を洗ったり、買い物をしたり、昼寝をしたり・・・。おじいちゃんの日常が美しい写真になるのは、懐かしい田舎に里帰りした気分になれるからでしょうか。
しかしおじいしゃんが刈り取っているフサモは外来種のオオフサモだし、おじいちゃんの家の近所のカタバミも外来種のイモカタバミだし、よくよくみれば、やはり琵琶湖の問題点も写っています。
お薦め度:★★ 対象:おじいちゃんに癒されたい人に
【加納康嗣 20061113】
●「おじいちゃんは水のにおいがした」今森光彦著、偕成社
滋賀県高島の針江にい.ってきた日、頼んでいた本書が届いていた。真樹ちゃんが推薦した本というので内容を確認せずに機械的に注文しておいたものだ。驚くべき偶然、まさに生水(しょうず)の郷の80歳の老漁師を取材した子ども向け写真絵本だった。体にしみ込むような湧き水の匂うような香りがそのまま紙面からあふれていた。バイカモやセキショウモの鮮やかな緑が揺れる水路、鯉やニゴイ、タナゴが泳ぐ「かばた」(コンコンと丸い井戸から清水が湧き出ている半屋内性の炊事場)。水は屋内の井戸と水路と川を巡る。水のきらめき、そよぎ、その匂いは心の奥深いところにしまいこんでいた郷愁を呼び覚ます。湖水と生きる老漁師の顔に風土の深さが漂っていた。たまらない1冊である。
お薦め度:★★★★★ 対象:日本人なら誰でも。
【西澤真樹子 20061020】
●「おじいちゃんは水のにおいがした」今森光彦著、偕成社
琵琶湖のほとり新旭町に住む80歳の漁師・田中三五郎さんの生活を写真で追いながら水辺と馴染んだ人々の暮らしを紹介していく本。漁、祭事、ヨシ焼き、野菜を洗うといった日常の風景すべてに、知恵と哲学が含まれていることを教えてくれる。同時にいずれ失われてしまうかもしれないこの風景を、今きちんと撮らなければ、という著者の気迫も伝わってくる。琵琶湖と水と漁師さんに対する敬愛のまなざしに溢れた一冊。
お薦め度: 対象:
【六車恭子 20061219】
●「おじいちゃんは水のにおいがした」今森光彦著、偕成社
ここは琵琶湖西岸安曇川河口、新旭の地で60年以上も漁を続ける漁師、田中三五郎さんの昔ながらの暮らしぶりを記録した風物詩絵本である。三五郎さんの漁場は河口のほんの数百メートルの範囲、「もんどり」をしかけて、自分の家族分をだけをとる”おかずとり”といわれる漁である。大正時代の年代物の”田舟”は今も現役で彼の足を務めている。周辺の民家の水路を介した”かばた”で繋がる日々の無駄のない暮らしぶりはほっこりと郷愁をさそう。使い込まれた調度品も三五郎に属するように馴染んでいる。今森氏は失われゆく故郷の水辺に生きる人々の暮らしの美と知恵を記録して残しておきたかったのだろう。
お薦め度:★★★ 対象:読んであげるなら幼児から
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