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本の紹介「プラントハンター」

「プラントハンター」白幡洋三郎著、講談社学術文庫、2005年11月、ISBN978-4-06-159735-8、1051円+税


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【六車恭子 20080222】
●「プラントハンター」白幡洋三郎著、講談社学術文庫

 植物をめぐる知・探検・趣味が時代の中で組織化され大衆化していったここ200年の流れの中で個々の人々が果たした役割をたどって外郭を伝えようとした労作だ。
 「神の作りたまいしものは何一つ見過ごしてはならず」とリンネの指示で地の果てまで放たれた矢を全うしようとした使途ツンベルクは黎明期のハンターでマッソンとの喜望峰での接触が触れられているにすぎない。個々ではプラントハンターとしての頭脳的に組織し情報を掌握したバンクスやフッカーよりも、もっと庶民感覚の民間外交の歴史を文献から掬いだして列伝を並べた体裁だ。園芸会の覇者ヴィーチ商会や「ウォードの箱」がプラントハンターの歴史を書き変えたことなど、新知見に富む。1853年ペリー遠征隊の意味など、プラントハンターの視点を加えるとにわかに面白みがますようだ。素材を網羅したその次は物語が生まれるようにその時代を味わってみたい心境です。

 お薦め度:★★  対象:時代の流れをインデックスから味わえる人

【和田岳 20080222】
●「プラントハンター」白幡洋三郎著、講談社学術文庫

 哺乳類や鳥類の狩猟よろしく、各地に出かけていって、職業的に、大量の有用・珍奇な植物を採集する者をプラントハンターと呼ぶらしい。17世紀のイギリスに端を発し、17〜18世紀のヨーロッパの園芸熱をささて、そして19世紀には世界をまたにかけて植物を採集しまくったプラントハンターたちが紹介される。とくに幕末から明治初期の日本にやってきたプラントハンターには多くの紙面がさかれている。
 幕末や明治初期に日本にやってきたプラントハンターたちの記録の中の日本の様子はとても興味深い。プラントハンターという視点から18〜19世紀の世界をかいま見せてくれる。のはいいのだが、羅列に終わっている感が強く、ややもすれば博覧強記自慢になりかねないのが残念なところ。

 お薦め度:★★  対象:ヨーロッパの園芸熱のすさまじさの歴史を知りたい人

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