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本の紹介「プレートテクトニクスの拒絶と受容」
「プレートテクトニクスの拒絶と受容 戦後日本の地球科学史」泊次郎著、東京大学出版会、2008年6月、ISBN978-4-13-060307-2、3800円+税
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【西村寿雄 20081023】
●「プレートテクトニクスの拒絶と受容」泊次郎著、東京大学出版会
いわゆるプレートテクトニクス論は1980年代には世界的にはほぼ定説となっていた。しかし、日本の地質学会では、このプレートテクトニクス論を認めるか仮説の段階としてとどめるか、長い論争が続いた。
地質学という学問の特性、社会的な構造、地質学関連学会の党派制など、さまざまな要因がからんでの約20年間にわたる理論闘争が繰り広げられた。この本では、そうした事実を地質学論文をかき集めて検証している。
著者は後書きで「現在進行中の科学もこうした社会的なさまざまな要素がからみ合っていとなまれていることを理解して欲しい」と述べている。しかし、なぜ、一流の科学研究者が、こうした〈社会的な要素〉にふりまわされるのかという問題にふれていない。このことに著者なりの科学観があれば、さらに役立つ科学史の本となったであろう。
お薦め度:★★★ 対象:科学研究に携わっている人
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