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本の紹介「ライチョウ」
「ライチョウ 二万年の奇跡を生きた鳥」中村浩志著、農文協、2013年8月、ISBN978-4-540-12118-0、2500円+税
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【和田岳 20161220】【公開用】
●「ライチョウ」中村浩志著、農文協
著名な鳥類研究者であるところの著者による、「雷鳥が語りかけるもの」に続くライチョウ本第2弾。2006年の前作と大筋で同じような内容なのだけど、前作では調査結果に基づく話が少なくてイライラしたが、この本では調査の成果がふんだんに投入されている。食性、換羽、冬の生活、個体群動態、死亡原因、社会、遺伝子解析、最北の小集団の謎、分散、危機的状況が、調査結果をもとに語られ、ライチョウの生態を知るのにかっこうの一冊となっている。
ライチョウの危機的状況は、前作の頃と変わらず。ライチョウの未来はあまり明るくなさそうなのが残念。次回作ではライチョウが救われる話を読みたいと思ったりする
。
お薦め度:★★★ 対象:ライチョウの生態を知りたい人
【西本由佳 20161218】
●「ライチョウ」中村浩志著、農文協
高い山の上だけに住んでいて、人を恐れない鳥、ライチョウ。とりあえずライチョウってどんな鳥?と思ったとき、読むといろんなことがわかる。ライチョウの捕まえ方、厳しい高山の環境への適応、DNAによってわかる氷河期からの移動と分布、今現在の状況(温暖化と野生動物の侵入)における危機。すべての数を数えられる生物はなかなかいないが、日本のライチョウについては数えられていて、30年ほど前の約3千羽から、現在2千羽以下に減少していることが明らかにされている。「かわいさ」を保護の理由にしてはいけないけれど、調査でわかってくるけなげな生き方と、ときおりはさまれる写真の愛くるしさに心を動かされる人はいるだろう。
お薦め度:★★★ 対象:自然の好きな人
【六車恭子 20161221】
●「ライチョウ」中村浩志著、農文協
氷河期に日本列島に移り住んだライチョウが氷河期の終焉とともに高山に逃れ、世界の最南端で生き続けられた奇跡を解明したのが本書。
文明が栄えると緑を滅ぼし、緑が滅びて文明が滅びることを世界の歴史は繰り返してきた。人を恐れることを知らない日本のライチョウは日本文化のシンボルともいえる。その今後の保護活動への確かな視座をも見据え、日本文化を守る最後の砦に、と説く静かなる情熱と祈りの書である。
お薦め度:★★★★ 対象:ライチョウを失うことを憂えるすべての人に
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