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本の紹介「理系白書」

「理系白書 この国を静かに支える人たち」毎日新聞科学環境部著、講談社、2003年6月、ISBN4-06-211711-8、1500円+税


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【寺島久雄 20040207】【公開用】
●「理系白書」毎日新聞科学環境部著、講談社

 花を見て文系の人は美しい、良い香りと感じ、理系の人はキク科だ子房上位だと言う。文系の感性、理系の知性の違いが出る。
 すぐれた研究者がおる日本が現在欧米に遅れを取っている。理系は出世、報酬の不利、数学、理科離れ、研究の不満等々の嘆きが理論的に述べられている。
 学際の時代になっている現代、文理融合した(文理シナジー学会も出来ている)広い視野で日本の科学技術立国を支える理系の人々の誕生を望んでいる本である。
 中村博士の発明が200億円とのニュースは、理系の嘆きが吹き飛んだのではないでしょうか。

 お薦め度:★★★  対象:理系の人に

【金井一史 20040126】
●「理系白書」毎日新聞科学環境部著、講談社

 日本において理系がひどい扱いを受けていると様々な実例をあげて紹介した一冊です。
 この本による、日本を支えているのは理系であり、現在の不況は理系的知識の欠如した文系人間に問題があると主張しています。また、同様に日本における理系の問題点もわずかに扱っています。多くの例があり、うなずかされる点は多いのですが、他国と文化差を考慮に入れず単純に比較するなど、うまい誘導も随所に見られます。ですが、全体的には2000年前後の日本の現状が様々に紹介されている為に、現状の紹介書としては良くできているように感じました。
 最初から通読するよりも興味ある部分を流し読みする方が適している本かもしれません。

 お薦め度:★★  対象:自分は文系であると思っている人

【瀧端真理子 20040201】
●「理系白書」毎日新聞科学環境部著、講談社

 「物理法則の大半はすでに見つかっており、残っているのは重箱の隅の煮しめの切れ端ぐらい」「研究者の関心は、標準理論を超える『大統一理論』や『超ひも理論』に移り始めていた。・・・数式を並べて『空論』を論じることは科学か。そんなむなしさを覚える学生は少なくなかった」などを読むと、子どもを理学部物理学科に行かせようか、なんて選択をしなくて済みます。
 学習指導要領の改訂で、物理・化学・生物・地学のいずれかを、全く勉強したことのない小学校教員が誕生しているのも、ショックです。国立二女子大の理学部の学生数は、旧七帝大の理学部の女子学生の合計に匹敵、というのも、改めて認識しました。
 理系の場合は、政府系研究機関がいろいろあっていいよな、というのはあるものの、研究資金の獲得や組織内の問題は、身につまされる話も多く、読みながら連想ゲームをしてしまいます。
 読む人ごとに、いろんな角度から楽しめる、欲張りな一冊でしょう。

 お薦め度:★★★★  対象:教育や研究に関心をもつすべての人に

【中条武司 20040131】
●「理系白書」毎日新聞科学環境部著、講談社

 生涯賃金格差が5000万円、博士をとっても就職できない、女性差別が根強く残る、企業の高学歴敬遠・・・などなど理系と日本社会を取り巻く現状と問題点を様々な角度から紹介。私たち理系にとってみては当たり前のことでも、こんな本に大々的に書かれるとは、世間一般の常識からははずれてるんだろうなあと実感します。
 でも、この本は理系といってもエンジニアおよび先端技術を扱っている研究者を中心に取材しているので、私たち地学・生物などの基礎研究分野の紹介や大学・企業以外の研究者(私たち学芸員とかだ!)などについてはほとんど扱っていない。「理系人への応援歌」を謳ってみても、やっぱりお金を稼げる人しか応援しないのねと、ちょっと卑屈になってみたり。

 お薦め度:★★  対象:教育や研究に関心をもつすべての人に

【和田岳 20040227】
●「理系白書」毎日新聞科学環境部著、講談社

 日本の理系社会という切り口で取材し新聞に連載した記事をまとめたもの。切り口が、理系という漠然としたものだったせいか、よく言えば幅広いが、悪く言えば焦点が曖昧。とくに問題なのは、理系といいながら、研究者の問題を多く取り上げている点。理系がすべて研究者ではないだろうし、逆に文系の研究者もいるだろうに。また、理系は報われていないということを多くの場面で問題視しながらも、その背景に国益ばかりがちらつくのも鼻につく。理系研究者の生態や状況の一端がわかるという意味では、その道に興味のある人の参考にはなるのかも。

 お薦め度:★★  対象:日本の“理系”研究者の一面の真実が知りたい人

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