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本の紹介「リンネとその使徒たち」

「リンネとその使徒たち 探検博物学の夜明け」西村三郎著、人文書院、1989年5月、ISBN4-409-51020-7、2767円+税


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【六車恭子 20041217】
●「リンネとその使徒たち」西村三郎著、人文書院

 私たちの学問は過去の先哲の知の集積の上に築かれる。学問が身の危険とともにあった18世紀の探検博物学の要にカール・リンネ(1707〜1778)がいた。二名式命名法を用いたこのスウェーデンの「自然の体系」の著者は18世紀に咲いた大輪の華だったろう。彼の意志に殉じて世界の果てまで散って神の栄光の証言(地球上の生き物は神の創造物と考えられていた!)を拾い集めようとしたリンネの使徒たちの情熱と栄光と悲惨が語られている。アメリカの渡ったペール・カルム、若くしてアラビヤに散ったフォルスコール、シーボルトより早く訪日していたツュンペリーの生きた時代が詳細に追跡されて興味深い。ダーウィンの時代はもうすぐそこに迫っているのが実感できよう。

 お薦め度:★★★  対象:その時代が果たす使命に思いを馳せる人は是非

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