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本の紹介「竜宮城は二つあった」
「竜宮城は二つあった ウミガメの回遊行動と生活史の多型」畑瀬英男著、東海大学出版部、2016年9月、ISBN978-4-486-02104-9、2000円+税
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【森住奈穂 20161222】【公開用】
●「竜宮城は二つあった」畑瀬英男著、東海大学出版部
ウミガメの回遊行動を19年にわたって追い続ける著者。産卵地を渡り歩き、安定同位体を用いた食性解析によって、産卵場が同じでも餌場が大きく異なる個体がいることを実証。大型は東シナ海で貝やカニなどを、小型は太平洋でクラゲなどを食べているらしい。太郎はどちらのカメの背中に乗ったんだろう。アカウミガメは初期成長条件に応じて生息域が選択される説が紹介され、異なる竜宮城効果の探求が、ウミガメ研究の主流になりつつあるのだそうだ。生活史多型は面白そうなテーマだなぁ。このシリーズのお楽しみ、「コラム」が旅の備忘録に徹しているところが残念ポイント。
お薦め度:★★ 対象:野生動物の研究に興味のあるひと
【萩野哲 20161216】
●「竜宮城は二つあった」畑瀬英男著、東海大学出版部
著者は炭素と窒素の安定同位体を用いて食性解析を行い、ウミガメの主要な採餌場所が2か所あることを発見した。そのことを“竜宮城は二つあった”と当然日本人ならそう思うだろうとしているが、なんとなく一般読者には論理の飛躍があるように感じた。また、勢いで書いたのかもしれないが、野帳そのものからとったと思われるようなどうでもよい雑談が多く、せっかく安定同位体の威力を見せ付けるチャンスなのに、その論旨を希薄化しているようで、もったいないと感じた。
お薦め度:★★ 対象:ウミガメが大好きな人
【和田岳 20170224】
●「竜宮城は二つあった」畑瀬英男著、東海大学出版部
フィールドの生物学シリーズの一冊。研究者を志し、ウミガメ研究を進めてきた経験が書いてある。なぜか成長の過程ではなく紀行文のような印象を受ける。そして、どうでもいい細部や感想、無関係のエピソードが、一つの段落の中でも随所に出てくる。とても読みにくい。
竜宮城とはウミガメの採食海域のこと。アカウミガメの採食海域が太平洋と東シナ海の2ヶ所に分かれていて、太平洋を採食海域にしている個体は小さい。という発見を南部や屋久島での調査風景とともに書いた第1章。 小笠原でアオウミガメで同様の現象がないかを調べにいった第2章。再び屋久島のアカウミガメで2つの採食海域を利用するアカウミガメのさまざまな生活史パラメータを比較する第3章と第4章。ウミガメのことは色々と勉強にはなるのだけど、とにかく読みにくい。
お薦め度:★★ 対象:ウミガメとその研究について知りたい人
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