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本の紹介「サボり上手な動物たち」
「サボり上手な動物たち 海の中から新発見!」佐藤克文・森阪匡通著、岩波科学ライブラリー、2013年2月、ISBN978-4-00-029601-4、1500円+税
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【和田岳 20130409】【公開用】
●「サボり上手な動物たち」佐藤克文・森阪匡通著、岩波科学ライブラリー
バイオロギングの専門家の佐藤と、クジラ類の音響を研究してきた森阪が、分担して執筆した1冊。直接観察が難しい水の中の動物の行動を、データロガーや動物カメラ、音響から明らかにしようとする試みが紹介される。
機器を使う事で、海の動物の姿が徐々に明らかになってきた。それは比較的近年になって始まった試みで、その歴史を含めた記述は興味深い。そしてその手法は、直接観察しにくい海の動物だけでなく、直接観察できているはずの陸の動物でも威力を発揮するという指摘は面白い。でも、全体的には、バイオロギングの成果をサラサラっと紹介しただけで、個々の研究の深みに欠ける感はいなめない。どうしてこんなタイトルにしたかも不明。
お薦め度:★★ 対象:バイオロギングの成果をサラッと知りたい人
【萩野哲 20130424】
●「サボり上手な動物たち」佐藤克文・森阪匡通著、岩波科学ライブラリー
本書も著者専門のバイオロギングの新知見を紹介している。よく「チーターはどれくらいのスピードで走れるか?」という場合、それは最高速度を期待しているが、著者の考えでは、それは巡航速度であるべきだ。実際に海洋動物をバイオロギングで調べてみると、多くの動物は通常の速度は予想よりも遅いことがわかった。常に最高速度を出していると、いざ捕食する時や、逆に捕食者から逃げる時に息が切れてしまうし、また、空気呼吸の動物があまり遅く潜っていては息が続かない。動物は遅すぎず速すぎず、移動に要するエネルギーコストを最小にする最適速度で泳いでいるのだ。しかしそれをサボりというのはいかがなものか? まあ、チーターのスピード測定の話も出てくるが、何かいままでの著作の焼き直しで、奇をてらったタイトルで読者を獲得する目論みがみえないでもない。
お薦め度:★★★ 対象:バイオロギングによる新知見がよほど知りたい人
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